開幕ローテ入りからの“完走率”は昨季50% 今季のパ・リーグ先発投手たちは?
打たせて取る投球は、ローテを守り抜くことにもつながる?
年間120試合で行われた2020年シーズンにおいて、中6日で1年間ローテーションを回った投手の登板数は20試合。この20先発という数字をクリアした投手は、8人となる。
36人中8人と、全体のおよそ22%が年間を通じてローテーションを守り抜いた計算に。その一方で、成績面に目を向けると、防御率が3点台の投手が4人、4点台以上だった投手も4人と、半数がやや安定感を欠く結果となっていた。
それでも、昨季がやや特殊な環境だったことは勘案する必要がある。例年よりも試合間隔が少なかった影響でリリーフの負担が増したこともあり、先発投手がローテに穴を空けずに登板し続けたこと自体が、価値のあるものだった。8投手ともに短縮シーズンながら100イニング以上を消化している点からも、一定以上の貢献度といえるだろう。
奪三振数に目を向けると、8人中5人が2桁の奪三振にとどまっており、どちらかと言えば打たせて取るタイプの投手が多くなっていた。試合ごとの消耗を考えても、比較的球数を要さないスタイルの投手のほうが最後までローテを守り抜く可能性が高いといえる。
また、20試合とはいかずとも、全体の8割にわたってローテーションを守った場合に達する数字である、16試合以上に先発登板した投手へと範囲を広げた場合も紹介したい。
36人中18人と、全体のちょうど半数に増加。開幕ローテに入った投手の半分は、シーズンの大部分を先発として過ごした計算になる。6月から11月という例年よりも短期間で行われたシーズンながら、多くの投手が大きな離脱をすることなく投げ抜いていた、という点は特筆に値する。
成績面では、20登板以上の投手の中には1人もいなかった防御率2点台の投手が4人存在し、防御率3点台の投手も8人に増加。18人中12人が防御率3点台以下と、安定感という面では全体的に向上していた。このことから、最後まで中6日で登板を重ねた投手は、疲労の蓄積もあって、パフォーマンスにも若干なり影響が出ていたとも考えられる。
その一方で、規定投球回に到達した8人の投手のうち、7人が上記のリストに名を連ねていた。つまり、故障で開幕に出遅れた千賀滉大投手を除く7人はいずれも、開幕の時点で先発ローテに入っていたということだ。
短いシーズンという事情もあるだろうが、やはり規定投球回をクリアするためには、開幕から先発として1軍に帯同することが必須に近くなっていた。近年は規定投球回到達者の減少が顕著だが、開幕からローテを守れる投手が多いか否かが、規定投球回をクリアする投手の数にも影響を及ぼしてくると言えそうだ。