パ・リーグの今季のトレンド? 各球団で不可欠となりつつある若手左腕たち
育成契約への移行を経験した楽天の渡邊はサイドスロー転向が転機に
○田浦文丸投手(ソフトバンク)
秀岳館高時代に甲子園で3季連続となるベスト4入りを果たす活躍を見せ、2017年のドラフト5位でソフトバンクに入団。プロ2年目の2019年には1軍で8試合に登板して防御率4.50という数字を残したが、続く昨季は腰痛に悩まされたこともあり、1軍登板は一度もなし。2軍でも1試合のみの登板に終わっていた。
プロ4年目となった2021年は自身初となる開幕1軍入りを果たし、リリーフとして2回を無失点に抑えた4月11日の楽天戦でプロ初勝利をマーク。最大の武器である強烈なチェンジアップに加えて、速球、ツーシーム、チェンジアップといった他の球種の威力も増してきている。4月13日のオリックス戦では1アウトしか取れずに5失点と崩れたものの、高校時代から将来を嘱望された左腕が、ついに本格化の気配を感じさせている。
○渡邊佑樹投手(楽天)
横浜商大から2017年のドラフト4位で楽天に入団。左のリリーフとして期待されたが、1軍での登板は3年間で2019年の1試合のみにとどまり、昨季オフには育成契約に移行。しかし、そのタイミングでフォームをサイドスローに変更したことが転機になった。新たなスタイルをものにして春季キャンプでアピールに成功し、2021年の3月1日には早くも支配下登録への復帰を勝ち取った。
左のサイドハンドながら右打者に対する被打率が低いことも特徴で、単なるワンポイントにとどまらない存在感を放っている。ストレートとスライダーという対左打者で有効な球だけでなく、逆方向に曲がるシンカーも持ち合わせていることが、右打者に対しても好投を見せている理由の1つだ。今やブルペンの貴重なピースとなりつつある左腕は、このまま年間を通してフル回転の活躍を続けられるか。
この6人のほかにも、昨季以前から活躍を見せている若手左腕としては、それぞれ現在24歳のロッテの小島和哉投手、オリックスの田嶋大樹投手、ソフトバンクの笠谷俊介投手といった今季も開幕から先発として登板を重ねている面々が挙げられる。また、2018年に史上最年少で通算100セーブを達成した実績十分のクローザーである楽天の松井裕樹投手も、現時点で25歳と、年齢的にはまだ若手の範疇と言える。
今季序盤に台頭を見せている若き左腕たちは、この勢いのまま重要な戦力としてシーズンを戦い抜くすることができるだろうか。フレッシュな戦力の台頭は所属チームにとっても、リーグにとっても新風を吹き込む存在となるだけに、今後も今回取り上げた投手たちの、若さあふれる投球に期待したいところだ。
(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)