巨人から2年連続ドラフト指名も2年で引退… 戦力外知った夜に憧れの先輩からの“温情”

春から「ドラゴンズベースボールアカデミー」のコーチに就任【写真:本人提供】
春から「ドラゴンズベースボールアカデミー」のコーチに就任【写真:本人提供】

春から「ドラゴンズベースボールアカデミー」のコーチに就任

 退職して愛知に戻り、野球塾で指導の勉強をさせてもらった。人脈形成にも奔走し、代表として「C.L.C」を起業。保育園児から草野球をする社会人や少年野球の指導者まで幅広い人を対象に、野球教室や、個人・グループ向けのレッスンを行っている。さらに今春からは、野球塾関係者の推薦で「ドラゴンズベースボールアカデミー」のコーチに就任した。

「やりがいはとてもあります。僕が一緒にやったり、伝えたりすることで楽しそうにキラキラ野球をしてくれることが一番幸せですね。僕が言ったことに対して一生懸命、夢中で練習してくれる姿を見ると、いいなあって思います」

 子どもと同じ目線で話し、小さな疑問を見逃さない。話しやすい環境を作ることを心がけている。その日々の取り組みの奥底には、片岡さんの存在がある。

「今でも、ヤスさん(片岡さん)には全部報告します。アカデミーのコーチになることも、最初に報告しました。ヤスさんはいつも『謙虚に生きろ』と言うので、感謝の気持ちは常にありますね。子どもと会うのも当たり前じゃないし『僕に求めてくれてありがとう』という思いで接しています」

 たった2年間でもNPBで得た経験を還元し、可能性を広げる助けに。「子どもたちが野球を続けるきっかけになりたい。とにかく野球を大好きになってもらって『明日早く野球をしたい』と思って帰ってもらえたら最高ですね」と願う。

 夢は広がる。いつか日本中の子どもたちに野球を教えたい。海外で野球を広める活動もしたい。でもどんな時も、謙虚でありたい。それだけは忘れてはいけない。

 きょうもまた、笑顔に囲まれる。夢中になってボールを追い、バットを振る子どもたちが、元気いっぱいに話しかけてくる。

「あ!マッチだー!」

(西村志野 / Shino Nishimura)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY