ファームで奮闘するルーキーたち データ分析から見える可能性と特徴とは?
長打率に秀でる渡部、今川と対照的に、五十幡は出塁率が優秀
渡部、今川に続くのは日本ハムのドラフト2位・五十幡亮汰だ。大学時代から陸上選手並の俊足と評判の選手だったが、盗塁はわずか2つ。次の塁を陥れる場面はそれほど多くない。ただ、打撃面では存在感を発揮している。長打率で他選手との差をつくった前述の2人に対し、五十幡は高い出塁率(.442)で差を作っている。打率は.256とそれほど高くはないが、53打席で12もの四球(22.6%)を選んでいることが高出塁率の要因となった。
ここまでの3人は大学・社会人出身の選手。アマチュアの中でも高いレベルで長くプレーしている、こうしたカテゴリの選手が上位にくるのは自然といえる。一般的に高卒新人は、ファームのレベルであってもプロの高いレベルに順応できず、打撃成績が低迷することが多い。
開幕前に話題を呼んだ秋広優人(巨人)も、ここまではファームでOPSが.586(平均は.700)と低迷している。そんな中で渡部、今川、五十幡に次ぐOPSを記録しているのが内山壮真(ヤクルト)。ドラフト3位で入団した高卒選手だ。内山はここまで67打席に立ち、打率.254、出塁率.343、長打率.407と、いずれもファーム平均を上回る数字を残している。ここまでは高卒新人打者の中で一歩抜きん出た存在感を発揮しているといっていいだろう。
ちなみにこの内山のポジションは捕手。一般的に守備型の選手が多いポジションだけに、打てる選手の希少価値は極めて高い。まだファーム開幕から1か月強の段階だが、今後の成績推移が楽しみなパフォーマンスを見せている。
次に彼ら新人打者の打撃をより詳しい部分まで踏み込んで見ていくことにする。ここまでは出塁率や長打率、OPSなど、打席結果を集計した成績を見てきたが、ここからは1球単位、つまりスイングしたかしていないか、スイングした際にバットにどれだけ当てているかといった種類のデータを見る。打撃のアプローチと呼ばれる分野のデータだ。こうしたデータを見ることで、一般的な打撃成績からは見えてこない打者のスタイルがわかってくる。