王者ホークスに勝ち越し、交流戦2位のDeNA セ・リーグ最下位から覚醒した理由
伊藤光のリードを指揮官は評価「光が相手打者の反応を見ながら、うまくリードしてくれた」
大和は2019年6月19日の日本ハム戦でサヨナラ打を放った際、打席に入る前に田代コーチから「お腹がすいたから早く決めてくれ」と声をかけられていたことを明かし、今年5月27日のオリックス戦の3回に適時二塁打を放つ直前にも、「打ってこい!」と気合を注入されていた経緯がある。この日のお立ち台では「普段からアドバイスをしてくれていますが、今日打席に行く時は…何も言ってくれなかった」と笑わせたが、「ベンチを見たら田代さんが1番喜んでくれていたのでよかった」としみじみ。的確な指導はもちろん、田代コーチの温厚で気さくな人柄がチームに安定感をもたらしているのかもしれない。
一方、同じく交流戦開幕とともに、ベンチを担当していた木塚敦志投手コーチをブルペン担当へ配転。川村丈夫投手コーチをベンチに置いている。「木塚コーチにはブルペン担当コーチの経験もあるし、リリーフ陣を見てほしい」と三浦監督。現役時代、リリーフ一筋に通算490試合に登板した木塚コーチを適所に配置した。
そして、つながりを欠いていた打線に、プロ14年目の伊藤光捕手を「2番・捕手」で起用し刺激を与えた。それまで2番を打つことが多かった大和が8番に下がり、得点圏打率.391(3日時点)の勝負強さを生かせるようになった副産物的効果もある。
伊藤光は今季、ケガもあって出遅れていたが、常時マスクをかぶるようになってリードが安定。三浦監督は「経験豊富で、投手の長所をうまく引き出してくれている」とうなずく。この日、先発した坂本裕哉投手の6回無失点の好投についても、指揮官は「(坂本の)状態自体はめちゃめちゃ良かったわけではないが、バッテリーで変化球を交えながらうまく抑えてくれた。光が相手打者の反応を見ながら、うまくリードしてくれたと思います」と指摘した。
見違えるような快進撃を始めたDeNA。今後もさらに浮上して交流戦優勝をもぎ取り、セ・リーグを混戦に持ち込んでほしいものだ。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)