「いなくなったら困る」 鷹・工藤監督も認める“便利屋”中村晃の重要性
打順を問わない多様性「何番だから、と意識はしていない」
打率は.267ながら、出塁率はそれを大きく上回る.373を残す。この日の2本の適時打のように、ここ一番での頼もしさはピカイチだ。さらには、目立つことはなかなかないが、一塁だけでなく外野も含めて守備面でもその安定感が光る。
今季も起用される打順は日々変わる。今季はこの日入った6番が15試合目。そのほか、2番で7試合、3番で1試合、5番で28試合、そして7番でも11試合に先発している。上位であれば出塁、5番以降であればポイントゲッターと、チームから求められる役割は変わるが、毎年のようにそのタスクをこなせる人材はほかにいない。
この役回りを中村晃自身は「基本は塁に出ること、あとはヒットを打つことだけ考えています。単純なことですよ。何番だから、というのは意識していないですね」とあっけらかんと語る。若手の頃から様々な打順で打ってきたからこそ、こうした考えに行き着いたところもあるだろう。
「4番を打ったりもしましたけど、いい気分転換かなと。動いて面白いなと思っています。自分のできることしかできないですからね。4番になったからといって、ホームランバッターにはなれないんで」。さらりと言えるところに中村晃の“強み“がある。
決して柳田や千賀のような派手さはない。だが、チームにとっては絶対に欠くことのできない重要な存在だ。この日の中村晃の活躍は改めてそう強く認識させるものだった。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)