8ゲーム差→3.5ゲーム差 巨人が猛追、専門家は「阪神にとって不安となる可能性」
巨人打線の鍵は「どうやって岡本和真に打たせるか」
野口氏は「丸、坂本、梶谷の復帰で、4番の岡本和が気楽に打てるようになったことが1番大きい」と見る。確かに、今季全71試合で4番を務めている岡本和は、主力の相次ぐ離脱で重圧を一身に背負い、悪戦苦闘してきた。しかし、いまや3番・丸と5番・坂本に挟まれ、さらに6番に梶谷が控えているためマークが分散され、相乗効果が生まれている。岡本和は坂本復帰後の10試合で、打率.257(35打数9安打)はともかく、4本塁打14打点を稼ぎチームを勝利に導いている。
「私は今季の巨人打線の鍵は、『どうやって岡本和に打たせるか』にあると見ています。現状は、前を打つ1番・松原、2番・ウィーラー、3番・丸が塁上を賑わし、しかも5番に坂本がいるから、相手投手は岡本和と勝負せざるをえない。さらに6番に梶谷がいるから、坂本とも勝負しなければならない──という良い流れができています」と野口氏は解説する。
野口氏は「いつ、どのチームの誰が新型コロナウイルスに感染して離脱するかわからない状況で、各チームとも故障者も多い。残り半分のペナントレースの展開を予想するのは難しい」とした上で、巨人と阪神の優勝争いに関しては、最近の両チームの対戦成績が影響を与える可能性があると見ている。
今のところ、巨人と阪神の今季対戦成績は6勝6敗の五分だが、2008年以降最近13年間は巨人が負け越しなし(五分が3シーズン)で、昨季も16勝8敗の“ダブルスコア”だった。阪神に黄金ルーキーの佐藤輝が加入するなど、顔ぶれに多少変化があるとはいえ、「相性がここ1番で、巨人にとって自信、阪神にとって不安となる可能性がある」と野口氏。いずれにせよ、猛虎に引き離される一方に見えた今季の巨人が、「勝てる態勢」を整えつつあることは間違いない。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)