「プロスピ2021」開発者が語る能力査定の裏側 阪神佐藤輝に「予想を裏切られました」
佐藤輝の当初予想は「2、3年はバットに当たらず、守備も打球についていけない」
――開幕前や春先のデータから1年間の成績を予想して査定を行うのは難しそうですね。これまでに、査定班の皆さんの予想通りの活躍をした選手はいましたか?
「やっぱり、100%予想できた選手はいないですね(笑)。パワーや走力のような純粋な身体能力はアマチュア時代から極端に変わることはないのですが、打者であれば1軍の投手に対して適応できる打撃能力があるかどうかという予想は難しいです。そこはミートに影響するのですが、外れることの方がむしろ多いくらいです。もう1つは守備ですね。プロの速い打球に対しての守備は予想するのが難しいです」
――今年の新人選手で挙げるとするならば、阪神の佐藤輝明内野手は皆さんの予想以上だったのではないでしょうか。
「本当にその通りです。パワーが目立っていたので2、3年はバットに当たらず、守備の面でも打球についていけないだろうと予想をしていました……。そういう意味では、いい意味で予想を裏切られましたね。コンタクト能力、守備面も試合をこなすたびに上昇しており、高い順応力を持った選手として評価しています。正直、この能力をスカウトが見抜いていたなら、4球団競合どころでは済まなかったのでは……と思っています。プロ側からしても、想定を超える活躍を見せているのではないでしょうか」
――ルーキーでは佐藤輝選手の他にも、すでに2桁本塁打を放っているDeNA・牧秀悟内野手や五輪代表にも選ばれた広島・栗林良吏投手ら新人の活躍が目立っています。
「牧選手に関しては、逆方向に打つ打撃技術が高い選手と評価しております。パンチ力も想定以上の成績を残しており、ドラフト前にオリックスのスカウトの方が『将来的に本塁打王を取るかも』と評しておられましたが、プロの方の眼力はさすがと思わせてくれる前半戦の活躍でした。
それにしても、ルーキーで10本塁打を記録するのは直近でも2016年のオリックス・吉田正尚選手(10本)や2010年の巨人・長野久義選手(16本=大卒、社会人で3年プレー後に入団)と、そもそもが非常に珍しいケースです。今年だけで佐藤輝選手、牧選手の2人も出ていること自体、異例の新人当たり年なのだと感じています。
栗林投手は、ドラフト指名当初は『先発』として評価しており、『抑え』としては考えていませんでした。抑えで起用されてからの活躍は目覚ましいものがあり、ストレート、スプリットは出色の成績を残しています。暑くなり疲れが出てきた感はありますが、このままの成績を維持していけば球威A以上を検討することになると考えています」
――リーグトップの9勝(7月5日現在)を、マークし、「マイナビオールスターゲーム2021」のパ・リーグ先発投手部門でファン投票1位に輝くなど、めざましい進化を遂げているオリックス・宮城大弥投手の査定が気になります!
「打者が差し込まれるストレートに、どの球種でも腕の振りが変わらずストライクがとれる制球力と多彩な変化球。特長を挙げると枚挙にいとまがなく、19歳にして高い完成度を持った投手と評価しております。また、現時点ではデータ形式の都合上再現できていないのですが『ダブルカーブ』と称される2種類のカーブを投げ分けていると認識しています。こちらは宮城投手のアイデンティティに関わる部分でもあるため、どう再現するか検討しております。
ほかにも、活躍を見せている選手たちについては今後さらに強化される予定です。サードでゴールデングラブ級の活躍を見せているオリックスの宗佑磨選手、西武の呉念庭選手や日本ハムの河野竜生投手、ロッテの佐々木千隼投手らは大きく強化されていくかもしれませんね!」