プロ注目の天理・達孝太はなぜ敗れたのか 自身が分析する「冷静になれなかった」理由
和歌山決勝では同じくドラ1候補の市和歌山・小園も敗戦
目に涙はない。今秋のドラフト1位候補、天理の達孝太投手(3年)は、敗戦後、淡々と振り返った。全国高校野球選手権奈良大会は準決勝2試合が行われ、今春の選抜に出場した天理が6-7でDeNA・三浦大輔監督の母校として知られる高田商に逆転サヨナラ負け。最速148キロ右腕が春夏連続の甲子園を逃した理由を冷静に分析した。
準決勝はベンチスタート。達の出番がやってきたのは、想定よりも少し早かった。先発・森田雄斗投手(3年)が4回まで毎回安打を許す4失点。5回表に味方打線の三連打で同点としたその裏、193センチの右腕がマウンドへ向かった。
やっと追いついた。流れを引き寄せる投球をしたかったが、「5回は少し力んでしまってボールが浮いていた。自分の思い通りの球が投げられなかった」と二連打を浴びて、勝ち越しを許した。天理・中村良二監督は「良い状態が出来上がっていないのに急がせてしまったかも」と労ったが、達は「それは全くないです」とはっきりと否定した。
その後は徐々に低めにボールを集め、8回まで毎回の6奪三振。9回には主将の内山陽斗外野手の右翼への2点適時二塁打で逆転。春夏連続の甲子園へ、あとアウト3つをとるだけだった。
9回裏。先頭の代打・野田櫂選手(2年)を空振り三振に切ってとる。あとアウト2つ。しかし、続く1番・東口虎雅外野手(1年)の遊ゴロを味方が失策。同点のランナーを背負うと、球場には高田商の学校関係者が叩くメガホンの音がより一層大きく響いた。
ここで達は野球人生初の経験をする。「今まで味わったことのない気持ちというか。これまでなら気持ちをコントロールできていたけど、頭が冷静じゃなかったです」。最後の夏の甲子園がかかった大一番。気持ちの動揺は達のコントロールをも狂わせた。