初出場で初戦突破、東北学院を支える学生コーチ 渡辺監督「うちは彼らでもっている」
直井良偉人・学生コーチ「誰かをサポートする仕事が向いているかもしれない」
役割は多岐に渡る。守備練習や試合前にはノックを打つ。試合では三塁コーチを務め、伝令に走っては明るい性格でナインを元気づける。練習ではメニューを各班のチーフと話し合ったり、時間配分を決めて回したりする。
東北学院は午後7時完全下校という決まりがある。6時間授業の日の練習時間は3時間ほど。週2日ある7時間授業の日は2時間もなく、授業がある土曜日も3時間程度だ。東北学院中学の軟式野球部がグラウンドを使う月曜日はオフで、高校軟式野球部が使用する水曜日はトレーニング日。時間が限られているため、練習メニューの選択とそれぞれの時間配分が重要になる。午後7時の下校後は塾に通う選手もいれば、ジムに向かう選手もいる。
3学年の主任を務め、多忙な渡辺監督とも密に連携をとり、選手と監督の橋渡し役も担う。選手の状態を伝えることも仕事の1つだ。また、直井の提案で、現チームから取り入れたこともある。打撃、守備、走塁、トレーニングの各チーフと毎週ミーティングを開き、今後の見通しを立てることだ。大会までに必要なことや今週やるべきことなどを話し合う。
打撃班チーフの及川健成(3年)が「バッティングにもうちょっと時間をちょうだいよ」と言えば、守備班チーフの今野隼翔(3年)が「守備だってほしいよ。打ち勝つ、がテーマだと言っても、最低限の守備はあるでしょ」とかぶせる。「ちょっと待って」と学生コーチが調整する。納得するまでそれぞれの意見を聞いてきた。
これまでは主将や学生コーチが全体に向けた話をしてきたが、各チーフが発言する機会も増やした。「どう直すか、それぞれの課題との向き合い方を分かっているのはチーフなので」と直井。役割や責任がはっきりしたことで、トレーニング班チーフも兼任する古澤環主将(3年)に大きな負担がかからないようにもなった。甲子園というゴールに向かい、チームをマネジメントする。多大な苦労はあったが、直井は「誰かをサポートする仕事が向いているかもしれない」と気づき、将来は芸能人のマネジャーになりたい、と考えるようになった。