「楽天が漁夫の利を得る可能性も出てきた」 専門家が占う大激戦パ・リーグの行方

25年ぶりVを目指すオリックスの中嶋監督が「不動の構え」を見せる理由

 1996年以来25年ぶりの優勝が現実味を帯びているオリックスは、エースの山本由伸投手が16勝、弱冠20歳の宮城大弥投手が12勝を挙げ、チームどころかリーグでも突出している。しかし、中嶋聡監督には残り20試合を切った今も、山本と宮城の登板間隔を詰めてフル回転させる様子はない。

「下手にスクランブルをかければ、選手たちは『ウチは今、そんなに切羽詰まった状況なのか』と浮足立つ恐れがある。長らく優勝から遠ざかっているオリックスなら、なおさらです。慌てず、どっしり構えて戦わせたいのでしょう」と野口氏は見る。「オリックスは24年間優勝していないけれど、中嶋監督は個人的に移籍先で何度も優勝を経験している。その辺は心得ているはずです」とも。中嶋監督は、1996年にオリックス最後の優勝に正捕手として貢献した後、西武、日本ハムで優勝に貢献している。

 追う立場のロッテ、楽天はどうか。野口氏は「井口資仁監督と石井監督が実際に何を考えているかはわかりません。ただ、外から見ている限りでは、先発投手が打ち込まれるケースが増えてきたロッテの場合は、ここまで慎重にインターバルを置いて登板させてきた佐々木朗希投手を、間隔を詰めて先発させるとか。守護神の松井裕樹投手を故障で欠く楽天の場合は、過去にリリーフ経験のある則本昂大投手を配置転換するとか。いろいろ“奥の手”が考えられます」と語る。

 既に選手たちは満身創痍で戦っているだろうが、ゴール直前にきて監督がどこで“鞭を入れる”かによって、結果は大きく変わってきそうだ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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