鷹が描く壮大な拡大3軍制プランとは? リスク覚悟で外国人育成に乗り出す意味
ドミニカやメキシコの選手はキューバ出身選手のような“亡命リスク”はないが…
近年、ソフトバンクはデスパイネやモイネロ、グラシアルといった“キューバ路線”で補強を行ってきた。一方で、今回の3人はドミニカ共和国とメキシコの出身者だ。キューバは米国と国交が断たれており、若手有望株が亡命のために失踪することが頻発。ソフトバンクでも、コラスやロドリゲスが在籍中に姿を消している。
米国と国交のあるドミニカ共和国やメキシコの選手には突如、姿を消すリスクはないが、別の“リスク”は拭い去れない。MLBのように全選手が一定年数経過したのちに自動的にFAとなるような制度はNPBにはなく、外国人の場合は、育てた選手がすぐにMLBへ流出してしまう危険性を孕む。三笠GMも「懸念はありますし、外国人枠の問題もあります。保留の期限というのも課題かな、と思っています」と認める。
では、リスクがあるから獲得しないかと言えば、それは球団の方針にはそぐわない。「我々としては優秀な人材を集めて世界一の球団を目指すというところで、机上ではなく、やってみてどれくらいの効果があるか、まずはやってみようと」と三笠GM。まずは挑戦する。やってみた先に生じる課題を潰していくという考えだ。
もちろんチーム強化が第一義ではあるが、球界全体へ与える影響も考える。「日本のプロ野球が培ってきた土壌を生かして、活躍できる若者を世界中に広げる。野球の普及、発展強化としてもやるべきだと考えている。考えて行動しないのではなく、獲得して育成してやらせてみたいという機運になることが重要じゃないかと思っている。チャレンジして、自分たちが球界全体の刺激になればいいと思って取り組みたい」。日本球界にとって新たな刺激、選手育成手法の一例となればいい、との思いも球団は抱えている。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)