「才能が開花する前にやめてしまう」 日本ハムスカウト部長が少年野球の仕組みに警鐘
継続すれば広がる可能性、投手から野手に転向して成功したプロ選手も
もう1つ、大渕氏が「野球は継続すれば可能性が広がる」と強調する理由はプレーの幅が広いからだ。野球は打つ、投げる、守る、走ると求められる動きは多いが、全てを得意にする必要はない。プロでは足が速い、肩が強いという1つの分野に秀でたスペシャリストが活躍している。
さらに、コンバートして成功する選手もいる。昨シーズンで現役を引退した楽天の雄平2軍打撃コーチはドラフト1巡目で投手としてヤクルトに入団した。プロ7年目の2009年オフに野手に転向。2014年には打率.316でベストナインを受賞するなど、2021年までプレーしている。大渕氏は「投手で結果を残せなかったから野球に向いていないと判断するのではなく、少年野球でも色んなポジションをやらせてみて、選手の可能性を幅広く見ないといけません」と力を込めた。
可能性を見極めるには当然、期間が長い方が良い。野球を長く続けることが大切になる。そのために少年野球に必要なのは勝利至上主義ではなく、「野球の楽しさ」だと大渕氏は考えている。「勝つだけが楽しさではありません。うまくなる、評価される、考える。大人が楽しさを与えて、子どもたちを丁寧に成長させなければなりません」。
(間淳 / Jun Aida)
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