激化する阪神4番争いの鍵は? 佐藤輝より「悪くなると長い」大山をOBが推すワケ
佐藤輝は「苦手なコースをやっつけるか、そこには手を出さず甘い球を待つか」
一方の佐藤輝は昨季、新人ながら大山、マルテ(32試合)に次ぐ11試合で4番を務めた。こちらは3、4月に月間打率.245、7本塁打で長打力をアピールし、5月には打率.301、6本塁打。7月も打率.284、6本塁打と爆発した。
しかし、対策を徹底された後半戦は一気に落ち込み、7月に打率.227、1本塁打。8月も打率.222、3本塁打。9月に至っては11試合出場で35打数ノーヒットと、ほぼ右肩下がりに終わった。昨季トータルでは打率.238、24本塁打、64打点。「インコースと高めを徹底的に攻められ、意識させられた挙句に、低めの変化球を振らされる悪循環に陥った」と野口氏は分析している。
今季も練習試合ではそこまで徹底されていないが、開幕すれば昨季同様、内角と高めを徹底的に攻められることはまず間違いない。「昨季も東京五輪期間中の練習試合では、それほど内角を攻められず、佐藤輝も結果を残しましたが、レギュラーシーズンが再開された途端、相手の攻め方はガラリと変わりました」と振り返った野口氏。「佐藤輝がすべきことは、2つに1つ。苦手なコースをやっつけるか、そこには極力手を出さず甘い球を待つか」と指摘する。
もっとも「昨季の他球団の攻め方を見ていると、『内角と高めにストライクはいらない。ボール球を振らせろ』と指示が出ていると感じました。佐藤輝としては、いかにボール球を見極めるかは重要」と付け加えた。
野口氏は個人的には「今季に関しては、4番は大山に担ってほしい。佐藤輝も将来的には間違いなく4番を打つだろうが、2年目でそこまで責任を背負わせるのは酷」との考え方だが、「いずれにせよ、いったん決めたら、シーズン中にはコロコロ変えないでほしい」と話す。本格化するオープン戦で2人はどんな戦いを繰り広げ、昨季の覇者ヤクルトを迎える3月25日の開幕戦(京セラドーム)で4番に座るのはどちらなのか。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)