滅茶苦茶に見えて「方向はっきり」 五十嵐亮太氏が見た日本ハム、新庄流の再建術

「優勝は目指さない」宣言に「選手は目標を立てやすいでしょう」

 昨年の秋季キャンプでは、外野手に低く強い返球のコツを伝授し、今年のキャンプには陸上十種競技の元日本王者でタレントの武井壮氏や、通算381盗塁の赤星憲広氏ら幅広いジャンルの臨時コーチを招いたり、個々のスキルアップには最高のお手本を提供。選手がそれぞれの特性を強化できる環境を整えている。

 監督や首脳陣が「優勝を目指さない」と宣言してチームの底上げに努める様子はメジャー球団の方針にも似ている。メジャーリーグでは多くのチームが3~5年をかけて“勝てるチーム”を構築。チーム再建初年度はシーズン中の勝敗は度外視して、若手を積極的に起用しながら成長を促す傾向にある。

「僕がいたパイレーツも、暗黒期があって勝てるチームになった。期待の若手を中心に据え、どうやってチームとして機能させるか。チームとして成長していく過程が、見ているファンにとってすごく分かりやすいし面白いと思います。昨季5位だった日本ハムは挑戦する立場だと思うので、チームも選手もチャレンジしやすい状況にありますよね」

「優勝を目指さない」とはいえ、はなから勝負を放棄するわけではない。選手1人ひとりが成長するために自分がやるべきことを試合で実行できれば、自ずと勝利はついてくる。

「試合の中でアウトを取ることは大切だけど、その上で外野手であれば力強い返球ができるか、投手であれば渾身のストレート3球で三振が取れるか、長打が期待される選手は思いきりバットを振れるか、足が速ければカウントを見ながら仕掛けられるか、そういった部分での強化を並行させていこうとしている。個々のレベルアップを図りましょうという方針が徹底しているから、選手は目標を立てやすいでしょう」

新庄ビッグボスがもたらす「真剣勝負+α」の効果

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