大谷翔平が学び、身につけた 目標設定よりも大事な『目標達成』の真意

アチーブメントのカリキュラムに取り組む花巻東の生徒たち【写真:花巻東高校提供】
アチーブメントのカリキュラムに取り組む花巻東の生徒たち【写真:花巻東高校提供】

野球部だけでなく、今は花巻東全体に広がる共通意識に

 今でこそ、チームスポーツにおけるマインド教育は増えてきたが、当時は独自でその取り組みを導入している高校、ひいては部活動は多くなかった。それだけに先進的な試みだったと言える。3年にわたって開催されたチームビルディング研修プログラムでは、部員1人ひとりの等身大の思いと向き合い、「なぜ日本一になりたいのか」という目標の明確化を推し進めるワークが行われた。

 それは、実際にアチーブメント株式会社が社会人向けの研修で取り入れているワーク。多くの企業の業績向上を果たしてきた実績に裏付けられた内容だ。そのプログラムを通じて、野球部の選手たちの『目標達成』に向けた思考と行動は大きく変化していった。目標とは、それぞれに違うものだ。1人ひとりが将来的に社会に出た時に大切になる人間力を育む内容でもあった。大谷もまた、その研修プログラムを受け、自らの目標を達成するメソッドを身につけていった1人だった。

 当時は野球部だけで取り組んでいたプログラムは今、花巻東高校全体に波及している。すべての生徒が目標達成の大切さを学び、その喜びを実感してほしいと考えた同校が、アチーブメントと連携して全校生徒を対象とした特別カリキュラムを取り入れたのが2019年。受動的な知識のインプット型の教育ではなく、生徒1人ひとりが自らの目標や夢を持ち、その実現のために主体的に日々の生活を送ることを大切にする考えを持つ花巻東は、『立志 夢実現』という言葉を掲げる。

『立志 夢実現プランナー』というオリジナル生徒手帳を作ったのも、特別カリキュラムの一環。高校生活のみならず、将来のビジョン、つまりは人生を見据えた長期的な視点から、3年間の高校生活を設計して目標を立て、日々の具体的な行動管理によって目標達成に導いていく内容になっている。単なる目標設定と、その管理ツールではない。それぞれに大切にしたい価値観や、目指す理想像などを整理しながら、それぞれの目標達成に向けて突き進む。そして、目標に辿り着き、その達成した経験から自らの強みを見い出す。オリジナル生徒手帳が果たす役割は、そういった側面もある。

メディアへの出演が少ないのは、自身の思考をコントロールしている証

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