市和歌山のプロ注右腕が“怪物”を牛耳れたワケ 花巻東・佐々木麟太郎が4の0

市和歌山・半田監督「腕が伸びるところを拾われると飛んでいく」

 5回2死走者なしでの佐々木の第3打席も、145キロ速球で三飛。4点リードで迎えた8回1死走者なしでの4度目の対決では、初球に109キロのカーブで見逃しストライクを奪い、2球目にはさらに遅いスローボール(ボール)を投じた。結局4球目の143キロ速球で一ゴロに打ち取った。「(スローボールは)普段1試合に1~2球あるかないかの球。それまでストレートでどんどん行っていたので、緩急をつけたかった」と明かした。2回から8回までゼロを並べ、「自分の持ち味のテンポ、コントロールを取り戻すことができました」と振り返った。

 4点リードで迎えた9回には、二塁打2本と犠飛で2点を奪われ、さらに2死一塁のピンチで佐々木と最後の対決。カウント1-1から138キロの速球が佐々木の右肘を直撃して死球となった。続く4番・田代に中前適時打を浴び、リードはわずか1点に。しかも2死二、三塁の窮地に立たされたが、5番・小沢を139キロ速球で左邪飛に仕留め、勝ち切った。

 1年前の選抜にも、DeNAにドラフト1位で入団した小園健太投手の控えとして出場。2回戦の明豊戦に先発し、ソロ本塁打を浴びて4回1失点。チームは敗退している。「ピンチでストレートを投げ込めたのは、去年より成長した点だと思います」とうなずいた。甲子園初登場の“怪物”を仕留めることができた要因も、昨年の経験にあったのかもしれない。

 半田真一監督は佐々木対策について「長打を狙ってくる雰囲気だったので、(外角の)腕が伸びるところを拾われると飛んでいく。インサイドをしっかり突いていけと伝えた」と明かした。「米田はピンチで崩れず、粘れたところに成長を感じる」と称賛し、「技量的なものより、自覚、責任が出てきた。今大会は(コロナ禍で)甲子園練習がなく、開会式も初日に試合のある6校だけで、ぶっつけ本番だったが、去年の経験が生きたと思う」と評した。優勝候補の一角の花巻東を破り、一気に勢いに乗りそうだ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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