佐々木朗希「伝説の105球」 異次元の完全試合を紐解く数々のデータとは?
野手のファインプレーも必要なし?の定位置に近い当たり
また、佐々木朗が打たせた28個のファウル(捕邪飛1本を含む)のうち、速球を打ったものが実に25球に達した。力強い速球でファウルを打たせてカウントを稼ぎ、最後はフォークで仕留める。奪三振のコースにも表れていたバッテリーの狙いの適切さは、その他のデータにも明確に示されている。
奪三振が多いということは、それだけ前に飛ぶ打球自体が少なかったということにもなる。オリックス打線の打撃結果は、三振以外はほぼ偏りがなく、レフト以外の各ポジションにまんべんなく打球が飛んでいた。すなわち特定のコースや球種に狙いを絞り、追っ付けや引っ張りを図ることすらできないほどの投球だったということだろう。
前に飛んだ打球は、初回の先頭打者である後藤の二ゴロを除けば、いずれも野手の定位置に近い当たりだった。ノーヒットノーランのような記録の裏にはファインプレーあり、と言われることも多いが、この日の佐々木朗投手の場合は、そうした野手がヒットをもぎ取るプレーすら必要としなかったということだ。
今回取り上げた各種の数字を見ても、まさしく過去に類を見ないほどの驚くべき内容だったことがうかがえる。この日の投球が、あらゆる意味で球史に残る歴史的なピッチングだったことに、疑問の余地はないことだろう。これだけの投球を展開したのが、20歳の佐々木朗と18歳の松川虎生という若い2人だったという点も、この試合がもたらしたインパクトを増幅させる。バッテリーがこのまま成長を続ければ、今後もさらなる衝撃をもたらす快投を見せてくれるかもしれない。そんな期待を抱かせる、圧倒的な105球のパーフェクトゲームだった。
(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)