グラウンドの「赤」にまつわる秘話…新庄剛志監督と野村佑希に共通する“思い”とは
新庄監督の「赤」はなぜ? 「63番の赤いヤツ」と認識されるために…
日本ハムを率いる新庄剛志監督と言えば、真っ先に思い出される色は「赤」だ。現役時代は他の選手の倍ほどの長さの、真っ赤なリストバンドがトレードマークだった。なぜ目立つ色を身に着けるようになったのか。原点は阪神の2軍で過ごした若き日にあった。
「『じゃああの、爪楊枝。63番の赤いヤツ』というイメージをつけておけば、得だと思ったんだよね」
後のスターもドラフト5位入団。炎天下のグラウンドで、ひたすら1軍を目指した日々があった。呼ばれるためにどうすればいいのか考え抜くと、プレーを磨くのはもちろん、周りとの“違い”をつくるのも、1つの方法だと思いついた。
計算づくの「赤」は、現役を終えるまで新庄監督のイメージとなった。メッツ、ジャイアンツと渡り歩いたメジャーリーグ時代こそ、チームカラーでもあるオレンジになっていたが……。そして再びグラウンドに戻っても、赤を身につける。現在もリストバンドをつけるのは、外野手に指示を出す際の視認性を高めるのが狙いだ。
ベンチで圧倒的に目立つ新庄監督の赤。一方で「もう少し、インパクトのある色があるといいな」という寂しさもある。自身より、選手に目立ってほしいとの思いは強い。開幕前、近藤健介外野手に赤いリストバンドをプレゼントしたのも、その一環だった。
現在の日本ハムで、ハッキリと自分の色が決まっている選手は少ない。ベンチにいるのは、これからまさに伸びていこうとする若手ばかり。たかが色、されど色。かつての自分と同じような「ギラギラ」したものを求めているのではないだろうか。