佐々木朗希はなぜ好投できるのか? ダル、田中将大らの“育ての親”が語るポイント
日本ハム、楽天などで投手コーチを務めた佐藤義則氏が解説
巨人・長嶋茂雄(現・終身名誉監督)は第2次政権時代に「松井秀喜は25年に一人の逸材だよ。でも、俺は50年に一人」と言った。それから30年後、エンゼルス・大谷翔平投手が“本場”のMLBにて、二刀流として活躍し、100年に一人の逸材だと証明した。40歳でノーヒットノーラン、44歳まで現役を続け、指導者時代はダルビッシュ有(パドレス)、田中将大(楽天)らを育てた名伯楽・佐藤義則氏の独自の視点により、佐々木朗希投手を分析してもらった。
今年、投手のポテンシャルだけを考えたら、日本史上最高だと謳われるロッテ・佐々木朗希投手が完全試合達成以降、無限の可能性について日米を巻き込む論争が喧々諤々と沸き起こっている。
「球速も凄いが、ストライクゾーンに投げられる形をまず持っていることが大事。190センチの身長に長い手足だろうと、身体さえできていればうまく駆使して投げることはそう難しくない。阪神の藤浪のように身体をうまく使えないと、ボールが抜けたりしてコントロールが悪くなったりする。佐々木はコントロールがいいとは言えないが、きちんとバックスイングを取り、手が長いけど肘を畳んで自分の身体の前まで肘が出てきてしっかり振れているからベースの中に投げられる」
コントロールを保つためには、まず正しいフォームを身につけることが先決。シャドーや下半身を鍛えるなどのトレーニングも必要ではあるが、佐藤はまずキャッチボールの重要性を説く。
「キャッチボールの重要性をみんなよくわかってない。アマチュア時代にキャッチボールを疎かにしているピッチャーがたまにいる。指導者がきちんと指導してないんだろうな。いい回転のボールをしっかり投げるためにはいいフォームで投げる。そのためのキャッチボール。選手たちに『ボールは素直だ』って教えるけど、正しいフォームで投げれば綺麗な回転でボールがまっすぐで行くし、肘が下がればシュート回転する。投げた人のフォームによってボールは変化する。そういう意味でも、正しいフォームで腕の振りを大きいキャッチボールをしてほしい」