DeNAの4番・牧秀悟は抑えられない? 元捕手の専門家もため息つく“万能ぶり”

野口捕手ならどう抑える?「打撃を崩すためには何かを意識させたい」

 3冠王を狙うなら、最も壁が高いのはやはり本塁打かもしれない。野口氏は「本塁打と打点は岡本和、村上との三つ巴。3人とも本拠地は比較的本塁打の出やすい球場で、そういう意味で条件に差はない。となると、味方のバッテリーがどれだけ“援護”してくれるかにかかってくるかもしれません」と指摘する。

 たとえばDeNAであれば、牧のためにもどれだけ、巨人戦で岡本和を、ヤクルト戦で村上を抑えることができるか──ということだ。「そうなると、味方の投手陣が最も充実しているヤクルトの村上が一番有利なのかな……」と続けた。いずれにせよ、打率では村上は.275、岡本和は.229と低迷しており、今季「3冠」を狙えるのは牧だけだろう。

 逆に“相手捕手目線”で見た場合、どうすれば牧を抑えられるのだろうか。「全打席きっちり抑えるのは難しいけれど、打撃を崩すためには、何かを意識させたい、必要以上に考えさせたいとは思います」というのが野口氏の基本戦略。「試合終盤の勝負どころで低めの落ちる球を打たせたいのであれば、前半は高めに集めて意識させるとか。3連戦初戦の第1打席は全球内角を攻める、といったことです」と話す。

「でもね……」と野口氏はため息をついた。内角は左へ、外角は右へ、コースに逆らわずに打ち分け、しかも右方向へも長打が出るのが牧の持ち味だ。「どのコースにも素直にバットが出る。強引に引っ張りにかかって凡打するようなケースが少ない。だから特定のコースに球を集めても、他の打者ほど効果はないかもしれない。少々打てない時期はあったとしても、急ブレーキを踏むように大スランプに陥ることは考えにくい」と指摘する。味方にとっては誰よりも頼れ、敵にとっては頭痛の種となる打棒が、まだまだ続きそうだ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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