北海道との縁が導いた「坪井監督」誕生 若手に伝える野村克也&星野仙一イズム

野望は「NPBに注目される選手にしたいし、常勝球団にもしたい」

 米独立リーグに身を投じたことのある坪井氏にとっては「ここは恵まれている。食事もしっかりある」という。それでも、独立リーグならではの厳しさもある。“監督兼広報隊長”として「スポンサー集めも俺の仕事」とファン拡大や資金繰りに奔走。約60万円の打撃マシン購入のために色々な人に頭を下げるなど「俺はもう何でもやる」と動き回っている。

 初めての監督業。多くの名将たちに仕えた経験が、指導の礎になっている。野村克也氏の洞察力、星野仙一氏の闘争心、トレイ・ヒルマン氏のポジティブさ……。「野村さんは、よく見て考えてやれとよくおっしゃっていた。バントのサインが出てバントするのと、自分で考えてバントするのでは意味が違う、と。気持ちを全面に出して、迷ったら一歩前に出るんだというのが星野さん。ヒルマンさんは楽しく楽しくと言っていた。色んな監督のいいところをいただいているかな」

 そんな坪井監督が選手に課す、最低限のルールは「全力疾走」と「一塁ベースカバー」だ。「失敗はしてもいいけど、ポジティブな失敗」をモットーに、「失敗をするのが野球だけど、同じ失敗を減らしていこう」という前向きさを大事にしている。

 最初は「ビックリするくらい意識が低かった」という選手たちだが、“坪井イズム”で確実に変わり始めている。「NPBに注目される選手にしたいし、常勝球団にもしたい」と野望を口にした坪井監督。北の大地での挑戦は、始まったばかりだ。

(町田利衣 / Rie Machida)

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