WBCで侍ジャパンの脅威に? 台湾楽天の“日本人ヘッド”が挙げる注目選手たち

楽天モンキーズ・古久保健二1軍ヘッドコーチ【写真:(C)パーソル パ・リーグTV】
楽天モンキーズ・古久保健二1軍ヘッドコーチ【写真:(C)パーソル パ・リーグTV】

前期優勝を果たした楽天モンキーズの古久保健二ヘッドコーチが語る

 今季の台湾プロ野球・前期シーズンは、楽天モンキーズが優勝した。チームを支えたひとりが、現役時代に近鉄で捕手としてプレーし、コーチとしても日本、韓国、台湾球界で20年以上の指導歴をもつ古久保健二1軍ヘッドコーチだ。台湾球界では、2019年から昨季まで富邦ガーディアンズで1軍バッテリーコーチを務め、今季は楽天モンキーズの川田喜則CEOから直々に招聘を受けて就任。“名参謀”が戦いの舞台裏と後期シーズンを語った。

――富邦から加入され、モンキーズに対する印象に違いはありましたか?
「雑というか、軽率というかね、一つ一つのプレーのつながりを改善すれば、もっとスムーズに試合が流れていくんだろうなっていう思いがありました。選手には、細かいことの積み重ねを大事にしていこうと。それは守備面においては、丁寧にボールを扱うということを常々注意していたし、基本に戻れというか、例えば、ただ全力で走る、当たり前のことを当たり前にしよう、ということをずっと言い続けていました」

――曾豪駒監督も、日本人指導者の貢献が大きかったと口にされていました。ヘッドコーチとして、チームにどのような意識付けや戦術を加えられましたか?
「作戦においては、より成功する確率の場面でサインを出していく考えはあるんですよね。奇襲とかそういうのはないです。正攻法なんですよね。だけどそれは、相手の投球パターンであったりとか、このカウントだったらこういう球が来るとか、ストライクが来るとかいうのをある程度はめ込んでいって、その作戦に繋げていく。それを実行して、成功してもらえる選手の技量っていうのもあるんですけど、この作戦はこういう風にするんだってことを、選手が明確に理解してくれているのは、助かってるところですね」

――前期は投手陣は先発、ブルペンとも安定。野手陣も、本来のクリーンアップこそ不振だったものの、伏兵が奮闘し、盛り上げた印象があります。優勝のキーマンを挙げるとすると、誰でしょうか?
「やっぱりチームを引っ張っていってくれた林立だとは思いますけどね。投手陣でいうと、やっぱりズーポン(黄子鵬)。先発ローテーションで、まして外国人だったらわかるんですけれども、きっちりローテーションを守ってくれ、なおかつ長いイニングを投げてもらえる。しかも、勝ち星でつなげてくれる。野手では林立に引っ張られる形で、成晉、チェンウェイ(陳晨威)。予想外に真ん中の3人が調子がいまいちで、でもそれ以外の6人が想像以上にやってくれたんで、そこだけで点取れる。ただ、真ん中の3人も目立つような成績ではなかったんですけれども、ここは1点欲しいとかいうようなところにおいてはそれなりのバッティングをしてくれるんでね」

――古久保コーチは、よくチーム内外から「伝統的な日本人指導者とは少し異なる」という見方をされています。この点については、どのようにお感じになっていますか?
「この点については、やっぱり時代も流れていくわけで、台湾プロ野球は33年目でまだ歴史が浅い。33年前というと僕らもまだ現役の頃で、そのときの大先輩方、僕らが入団したときの練習方法っていうのは、本当に昭和の練習法だったと思うんですよ。『根性や』とか『千本ノックや』とか、それはその時代で、もう今はそういう練習方法は日本でもほとんどやらない」

「だけど、台湾のプロ野球が始まった当初、日本からこちらに来られた先輩方っていうのはそういう教え方をやっていて、こちらはそれについていった。やっぱり時代の流れとともに、練習方法も変われば考え方も違う、いろいろな知識も入ってくる。だから、厳しく上から押さえ込むんじゃなくて、選手からの意見を吸い上げていく。そういうことは一番僕は注意しているんですよ。頭ごなしに自分の意見を通さない」

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