天敵対策のはずが…思わぬ“副産物”でサヨナラ勝ち DeNAに感じた大いなる可能性
9回に宮崎は申告敬遠も三浦監督「もちろん想定していました」
まずは1点ビハインドで迎えた6回、1死三塁のチャンスをつかむと、オースティンが戸柱の代打として登場。打球は投手・青柳のグラブをはじき、二ゴロとなる間に同点に追いついた。
2-2の9回には、阪神4番手の加治屋を攻めて1死二塁。三浦監督はここで満を持して宮崎を柴田の代打として起用したが、即申告敬遠で歩かされた。宮崎の使い方としてはもったいないようにも見えたが、続く今永の代打に大田。初球のフォークがワンバウンドの暴投となり、二塁走者の嶺井がヘッドスライディングで三塁を陥れる。そして2球目、大田は外角のカットボールをとらえて三遊間を破り、ナインの手洗い祝福を受けたのだった。
「(宮崎が歩かされることは)もちろん想定していました。まだ(大田)泰示もいたし、ソトもいましたから」と三浦監督。「普段(スタメンで)出ている選手たちがベンチにいて、いろいろなバリエーションで構えることができました」と会心の笑みを浮かべた。
天敵の青柳は6回5安打2失点で降板していた。116球を投げさせて早期降板に追い込んだが、攻略したとまでは言えない。それでも、強打者を自由に使える状況で最終盤を迎えることができたことは、DeNAにとって大きなアドバンテージになった。
これも、昨季最下位のDeNAの戦力が確実に底上げされているからこそ、可能になった策と言えるだろう。この日、7月に新型コロナウイルス陽性判定を受けた森、ソトがそろって1軍に復帰した一方で、ベテランの大和が新たに陽性判定を受け登録抹消された。とはいえ、徐々に主力の顔ぶれは揃いつつある。離脱者が多い時期に出場機会を増やし、成長を遂げた蝦名のような存在もある。実りの秋へ向け、DeNAにはミラクルを起こす要素を蓄えられている。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)