球界に“新潮流” 大学・社会人・プロ交流戦「薩摩おいどんカップ」開催の意義

大会アンバサダーに就任したBC栃木・川崎宗則【写真:宮脇広久】
大会アンバサダーに就任したBC栃木・川崎宗則【写真:宮脇広久】

鹿児島県姶良市出身の川崎宗則が大会アンバサダーに就任

 春の開催地に鹿児島が選ばれたのはなぜか? 大会参加チームのいくつかはもともと、鹿児島県内で春季キャンプを張っていた。生田監督が「亜大はここ9年間、鹿児島で春季キャンプを張っています。以前は沖縄で行っていましたが、国内や国外のプロチームが集まり、大学のチームがキャンプを続けることが難しくなった時に、鹿児島から声をかけていただきました」と明かすように、より温暖な沖縄にプロが集中し、大学や社会人のチームが鹿児島に集まりやすい事情があった。

 鹿児島県サイドとしても、2007年までは鹿児島県立鴨池球場(現・平和リース球場)がロッテの春季キャンプ地として賑わっていたが、以後NPB球団のキャンプは県内で行われていない。NPB球団の1軍春季キャンプは沖縄県9か所、宮崎県5か所で行われているのが現状だ。

 小薗氏は「プロ野球のキャンプを鹿児島に呼び戻したいのですが、なかなかうまくいかない。そんな中、こういった高いレベルの試合を見せていただけると、野球少年や関係者にとって学びになる。野球振興の面で大きな意義があります」と力を込める。

 薩摩おいどんカップが定着してファンがつけば、県内に様々な経済効果も期待できる。現時点でBCリーグのチームの参加はないが、鹿児島県姶良市出身のBC栃木・川崎宗則内野手(前ソフトバンク)が大会アンバサダーに就任し、野球教室などに参加する意向。会見では「“かごんま”に来たからには、美味しいご飯と焼酎のお湯割りを覚えて帰っていただきたい」とPRした。

 大会はトーナメントやリーグ戦の形は取らず、さまざまな組み合わせのカードを提供する。参加チームは今後、女子野球や軟式野球にも広げていきたいという。鹿児島と北海道でプロ・アマの交流が深まれば、球界に新たなムーブメントが生まれるかもしれない。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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