3ボールから打った逆転2点打 なぜ鷹・今宮は“迷いどころ”で打ちに行けたのか?
背中を押したベンチの空気と“1点OK”の西武の守備体形
藤本博史監督が「今年に限ってはノースリーからチャンスの時は待てのサインは出さないんで」と明かしたように、エンスが制球に苦しんでいても、ベンチから“待て”のサインはなし。むしろ、今宮は、積極的に打ちに行ってもらいたいというベンチの空気を感じとった。「ベンチを見たら『行け行け』みたいな感じになっていた」。腹を括り、覚悟を決め、ストライクを取りにくるところに狙いを定めた。
状況も今宮の背中を押した。1死二、三塁で西武の内野守備は定位置。“1点やむなし”の守備体形を敷いていた。「最悪内野ゴロになっても、1点というところがあった。仮にショートゴロになってしまっても1点は入るっていうところはちょっとプラスとして考えられたので。そこもちょっと考えながら、思い切っていった結果が良かったかなと思います」。バットに当てて転がしさえすれば、少なくとも同点になり、試合を振り出しに戻せる。そう考えれば勇気も出た。
結果、打球は中前へと抜けて試合をひっくり返す一打になった。さらに2死からデスパイネが左翼スタンドへ10号2ラン。今宮も3点目のホームを踏んだ。その後は点の取り合いとなったが、なんとか競り勝ったソフトバンク。この3回、スリーボールから打った今宮の適時打がチームに勢いをもたらし、勝利を呼び込んだのだった。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)