中日の本拠地に「HRテラス」作ったところで変わらない? “二重苦”になる危険性も
他球団はバンテリンドームで打てていないわけでもない
チームに一発が出るようになれば、相手にも出やすくなるのは当然。昨季はリーグ屈指のチーム防御率を誇り、今季も被本塁打数は阪神に次いでリーグ2番目の少なさ。落合博満監督が率いた黄金期から“守り勝つ野球”のイメージは根強い。ただ、自軍に思ったように攻撃力が備わらなければ、投手にとってテラスは“いい迷惑”になる可能性も。ある選手もかつて「ピッチャーの立場からしたら、絶対にない方がありがたい」と話していた。
確かに狭ければホームランが生まれ、試合の盛り上がりの一助にもなる。ただ、勝利に直結するかは不透明。他球団を見ても、バンテリンドームで打てていないとは決して言えない。リーグ首位を走るヤクルトで、最も本塁打を放っているセ・リーグの敵地は横浜スタジアムの18本。マツダスタジアムの15本と続き、バンテリンドームは3番目に多い10本となっている。
もちろん、狭い球場が打者を育てるという一面もある。ただ、テラスを設けたはいいが「思ったより打てない」「投手は打たれる」の“二重苦”では、元も子もない。歴史的なシーズンを送る村上宗隆内野手に象徴されるように、球場の広さに関係なくアーチを描ける真の大砲がいることが不可欠とも言える。助っ人の獲得か、ドラフト戦略か、地道な育成か……。テラス導入議論は、低迷期の足元を見つめ直すきっかけを与えてくれる。
(Full-Count編集部)