“常識破りの1球”で二盗阻止 ダルビッシュと相棒が見せた今季最高の共同作業

ノラ「軌道は分かっているので、捕球しやすい部分で受けられた」

 並の投手であれば、外角高めのボール球を迷わず選ぶはず。だが、ダルビッシュは違う。走者を置いた場面でターナーが右方向を狙う傾向は実戦からもつかみ取っている。誘いながらも打ちにくい球でストライクを取りにいった。しかし、選択した半速球では捕球までの時間が割を食う。ノラはどう考えていたのか――。

「あの1球はとてつもなく大きいよ。スライダーでもなくカーブでもなく、速いカッターが外寄りに来た。ターナーも打ち損じを懸念して見送らざるを得なかったものね。僕の送球? それはね、今季全部ユウの登板を受けているから、ボールの軌道はわかっている。だから捕球しやすいミットの部分で受けられた」

 今季ダルビッシュの全30登板を受けてきたノラは、球種によってミットの捕球部分までをイメージできるほどに至っている。さらに、捕球後が秀逸。ノラは肘を下げ気味にして送球。必然的にシュート回転したボールが、ヘッドスライディングの左手へドンピシャリのタイミングでベースカバーのクロネンワース二塁手のグラブに収まった。これは、かつてマリナーズでマスクを被った城島健司が、走者に好スタートを切られた時によく見せた裏技と重なる。

 ダルビッシュ有とオースティン・ノラの息づかいが聞こえてきそうなワンプレーが、大事な1戦の潮目となった。

(木崎英夫 / Hideo Kizaki)

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