ひび割れた恩師の手…巨人ドラ1に導いた“手料理” 浅野翔吾がプロ入りの先に見る夢
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浅野のもう1つの夢と、恩師・長尾健司監督と過ごした3年間
指導者の“夢”を抱いたのは、恩師と過ごした3年間があったからだ。長尾監督は部員たちの身体づくりのため、毎朝おにぎりを握っている。ふりかけで味を付け、食べやすいように工夫も凝らし、カレーなどの鍋料理もつくる。お気に入りの手料理を「シチューです」と即答。体重86キロ、胸囲110センチ、太もも64センチの強靭な身体の一部は、恩師が作った手料理からできている。
今年4月、高松商のグラウンドへ訪問したときに、長尾監督から「見てください、これ」と両手をひっくり返して差し出された10本の指先を見たことがある。野菜の処理や洗い物もするその手は、まるで水仕事の多い主婦のようにひび割れていた。それでも打撃練習の時間になると、選手複数人に対して打撃投手を務めていた。
浅野から「(グラウンドへ)一番最初に来ようとしているんですけど、いつも監督が先にいます」と聞いたこともある。そんな恩師の姿が、いつしか憧れになっていたのだろう。隣席で聞いていた長尾監督は「(指導者として)すぐ戻ってきて欲しいんですけど、トリプル4をするまでは戻ってきて欲しくない」と、“長尾節”で笑いを誘った。
(喜岡桜 / Sakura Kioka)
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