台湾プロ野球後期を制した“阪神ライン” 林威助監督と平野恵一コーチの中信兄弟
後期の快進撃には鄭凱文、呂彦青といった元NPB投手の活躍も
実際に後期の出足は悪く、8月下旬までは低迷。8月26日には首位の楽天が16勝6敗1引き分け、勝率.727であったのに対し、4位の中信兄弟は勝率4割、8勝12敗1引き分けで7ゲーム差をつけられていた。
しかし、そこから猛チャージがスタート。特に9月16日から10月13日までは、19試合で17勝1敗1引き分けという脅威的なペースで白星を重ね、10月4日にはついに首位。最後までその座を守った。結局、8月27日から優勝決定までの38試合で28勝9敗1引き分け、勝率は.757に達した。期間中のチーム打率は.284、防御率2.97。投、打、守備の成績は他チームを圧倒した。楽天もこの期間、5割以上の勝率はキープしたものの、中信兄弟の快進撃の前に年間1位の座を守るのが精一杯だった。
投手陣では、先発のホセ・デポーラが14勝で最多勝を獲得し、鄭凱文(元DeNA)が8勝。さらに呂彦青(元阪神)が、怪我がちだった李振昌(CC・リー=元西武)に替わりクローザーに転向し、20セーブをマークしたほか、後期から先発に定着、球団新となるシーズン11連勝と大ブレイクを果たした呉哲源や、6試合に先発し3勝をあげた陳柏豪ら、昨シーズンは1軍登板がほぼなかった投手がチャンスを活かし、チームを支えた。
これら投手陣の好成績を引き出したといわれるのが、今季から加盟したドミニカ共和国出身の捕手、フランシスコ・ペーニャだ。父は選手としてMLB球宴に5回出場、ゴールドグラブ賞4回、指導者としてもロイヤルズやWBCドミニカ代表の監督を務めたスーパースターのトニー・ペーニャで、本人もMLBで5シーズンプレーしたキャリアをもつ。
開幕時は1軍スタートも、先発投手が必要なチーム事情もあり2週間で登録抹消。その後2軍でも腐ることなく試合出場を続けた。クラスター発生により1軍でのプレー機会をつかむと、正捕手として起用されるようになった。マスクをかぶった試合の勝率は.650を超え、防御率は2点台。盗塁阻止率も5割オーバーだ。
入団当初は、昨季3Aで23本塁打を放った長打力を期待されていたことを考えれば、71試合で打率.255、5本塁打、28打点という「打者ペーニャ」の成績はいささか物足りないが「捕手ペーニャ」の貢献は大きかった。ただ、プレーオフでは外国人4選手のうち、登録枠は3人のみ。投手力が重要な短期決戦で林監督は投手の枚数を揃えるのか、司令塔としてペーニャを残すのか。決断が注目される。