保護者の過度な期待は「一番やっかい」 中日右腕の父が実践した“心育てる指導”
保護者の過度な期待や強制は「一番やっかいで危険」
「球拾いにしても、コーチの人にうるさく言われていやいや拾うのではなく、早く拾ったほうが勝ち、最後の人は腕立て10回とかね。そういうゲーム感覚で、勝ちたいという意識も生まれてきたと思います」。その流れで高学年になると「もっと上手くなりたい」との気持ちがさらに強まり、自然と技術も向上していった。「でも失敗しても、ええ振りやったなとか、とにかく褒めてましたね。三振でも思い切り振ったらOK、当たる、当たらないは時の運やってね」。
試合中のサインを子どもたちに出させることもやったという。「バッターとランナーとかに、考えてやれってね。すると一塁ランナーを走らせて、バッターはセーフティバントをして、その間に一塁ランナーは三塁までいった。そういう野球を子どもたちだけでできるようになったんですよ」。そんな指導が実って、県大会優勝も果たした。勝三氏は息子の小学校卒業とともにチームを離れたが、今でもうれしそうに振り返った。
そのうえでこう指摘する。「一番やっかいで危険なのは子どもが抱いている希望以上に保護者の方の期待値が高いケース。プロ野球選手にさせるため、甲子園にいかせるために無理させたりとか、毎日素振り200回しろ、とかね、子どもはやりたくないのに、やらせてしまう。それでは何の効果もない。それよりやりたくなる環境をつくらないといけないと思う」。
また機会があれば、少年野球に携わりたい考えでもいる勝三氏。「子どもたちが指導者によって、野球が嫌いになってやめていくのは減らしたい。野球は面白い、楽しい、うまくなりたい、が増えてもらいたい」と真剣な表情で訴えた。
(山口真司 / Shinji Yamaguchi)
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