栗山ジャパンの“奇策”一塁手不在は吉と出た? 好守の牧が「三重殺」で初陣快勝

三重殺の起点となった侍ジャパン・牧秀悟【写真:荒川祐史】
三重殺の起点となった侍ジャパン・牧秀悟【写真:荒川祐史】

“本職”の一塁手が不在…栗山監督の選択はどうなる?

 一塁手をどうするかも、その課題の1つだ。試合前練習で、三塁のポジションには、村上宗隆内野手(ヤクルト)と岡本和真内野手(巨人)、さらに佐藤輝明内野手(阪神)という、日本を代表するスラッガーが揃った。一方で今季を本職の一塁手として過ごした選手は、今回の代表にはいない。栗山監督は代表メンバー発表時から「様々なことを試す」と口にしてきた。最初の答えが、牧の起用だった。

 牧は今季、DeNAで一塁を1試合も守っていない。ルーキーだった昨季は67試合守備に就いたものの、今では二塁手一本となっている。指揮官に一塁を守ってほしいと伝えられた牧は「試合勘はないんですけど、やってみてよかったです。一塁ミットは一応、置いてあったものです」とまずは、こなせたことにホッとした様子だ。「集まって練習した時も1つのポジションにこだわらずにやることが大事。自分よりうまい方ばかり。一塁は去年やっていたので。実戦感覚を戻したい」と、複数ポジション制に前向きでいる。

 ただ、栗山監督の適性を見抜いた抜てきは、今に始まったことではない。日本ハム監督時代には捕手だった近藤健介を準備期間なく三塁、さらには遊撃を守らせたこともあった。その近藤は日本代表の常連となり、この試合では初回に先制犠飛を記録した。先頭の近本光司外野手(阪神)が右前打で出塁、盗塁を試みると捕手の悪送球で三塁に進んだ。そこでフルカウントから、左翼へ大きなフライを上げたのだ。

 この試合、牧や村上、そして森友哉捕手(西武)の本塁打も飛び出したが、栗山監督の狙う点の奪い方はこの場面に集約されているように見える。「近ちゃん(近藤)の技術や考え方は、ずっとやってきて信頼しているし。すごくいやな顔をしてベンチに帰ってきましたけど『なんで犠牲フライで終わるんだ』って。でも最低限仕事をしてくれるのが良さだから」と目じりを下げた。

村上の4番こそ決めていたが…他は変幻自在な栗山ジャパン

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