投手転向も「客寄せパンダじゃアカン」 根尾昂から突然の電話…幻の“二刀流”進言

中日・根尾昂【写真:小西亮】
中日・根尾昂【写真:小西亮】

マンツーマンで熱血指導、早朝5時から練習したこともあった

 中日の期待の星・根尾昂は、2022年シーズン途中から投手に転向した。大阪桐蔭高時代は投手、内野手、外野手の3刀流で3年時には春夏甲子園連覇に貢献し、4球団からドラフト1位指名を受けた逸材。立石充男氏は根尾のプロ1年目となる2019年から2021年まで中日でコーチを務め、野手・根尾をマンツーマンで指導していた。だが、投手になったことに驚きなどは何もない。以前から当時の与田剛監督に「ピッチャーもやらせた方がいい」と進言していたからだ。

 2019年、立石氏は1、2軍の巡回野手コーチだったが、鳴り物入りで入団した金の卵に対して2軍の首脳陣はあまり直接的な指導を行っていなかったという。変にいじっておかしくしてはいけないという空気があったのだろう。「その年の5月、根尾はファームでも、ほとんど三振だったんですが、それでも……」と立石氏は言葉を濁した。そんなある日、根尾から電話がかかってきたそうだ。「立石さん、バッティング見てもらえませんか」と。

「5月の博多遠征で4三振した後だったと思います。僕は2軍の遠征には行ってなかったのでね」。それまでは内野の基本練習で根尾と接していたが、本人からの打撃指導の要望があれば応えないわけにはいかない。「寮に(午後)9時くらいに着くので、お願いできますか」と言われ、快諾した。「バッティング、どうなっていますかという話だったんで、基本からいこうかってね。トスバッティング、まずバットとボールが当たるミート力をつけよう、そこからだってね」。

 打撃練習ではセンター返しを徹底させた。「とにかくセンター返しってね。それから毎日ですよ」。約2時間の練習は、スケジュールの都合で早朝5時から行った時もあったという。「1年目だけじゃなく、2年目もそんな感じで続けましたね」。結果、根尾の打撃力は上がっていった。

「2軍のオリックス戦で2打席連続ホームランを打って、これでつかんだなと思った時もあったんですが、またバッティングフォームが変わって……」

「両方やるのがいい」2軍で投打の二刀流をやらせたかった

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