5か月経っても見られない最終回の映像…東海大相模の庄司裕太&求航太郎が見据える“未来”

来春に東海大に進学する東海大相模・求航太郎【写真:大利実】
来春に東海大に進学する東海大相模・求航太郎【写真:大利実】

求航太郎は大学でも二刀流に意欲「両方求められる選手に」

 2年春の選抜大会で日本一を経験し、投打二刀流で注目を集めた求は、夏休みのほとんどを父の実家がある奄美大島で過ごした。「海がきれいなところで、小さい頃、夏休みになると毎日、海で遊んでいました。今も奄美に帰ると癒されます。料理にハマっていて、カレーやフレンチトーストとかを自分で作っていました」。

 グラブも持っていき、幼馴染の野球仲間とキャッチボールをした。大島高校からソフトバンクに入団した大野稼頭央投手も、小学生のときからよく知る友達だ。ドラフト指名を受けたときは「おめでとう!」とLINEを送った。「すっごい良い子です。謙虚で純粋で、本当に良い子。プロでも頑張ってほしいです」。

 求もプロ志望届を提出すれば、指名の可能性はあったが、迷った末に東海大進学を選んだ。「やっぱり、夏の結果が大きかったです。自分が思ったような活躍ができなかったので。特に横浜との決勝は、自分の悪いところがすべて出た試合。打ちたい、アウトにしたいという気持ちが先走りました」。

「4番・右翼」でスタメン出場も、横浜の左腕・杉山遥希の前に3打数無安打。守備では9回裏に3つの打球が飛んできた。先頭の岸本が放ったライト線の二塁打、一死二塁からのライトライナー、そして最後はライト前のサヨナラヒット。「3つともすべて、送球ミスです。一番悔やむのは、ライトライナーで飛び出した二塁ランナーを刺せなかった場面。普通に投げていれば余裕でアウトだったのに、ランナーがどこにいるのか確認せずに、急いで投げてしまいました」。

 求が捕球した時点で、二塁走者は三塁ベース付近まで飛び出ていたため、ゆっくり投げてもアウトを取れた。しかし、すぐに強い球を投げたことが、悪送球につながった。一生忘れえぬ、悔いの残るプレーとなったが、その悔しさを糧に大学野球での成長を誓う。

 高校通算20本塁打に迫る長打力と、最速144キロの力強いストレートに加え、181センチ85キロの体格も魅力十分。投打ともにまだまだ粗削りな部分があるが、これからの伸び代でもある。「野手としては長打力と打点の多さ、投手としてはストレートの強さと伸びには自信があります。大学で両方やらせてもらえるのなら、二刀流に挑戦したい。チームや監督さんから、両方を求められるような選手になりたいと思っています」。

 これから先、「あの夏の負けがあったから」と言えるだけの日々をどれだけ送ることができるか。東海大相模の3年生は、次なるステージに旅立つ。

(大利実 / Minoru Ohtoshi)

○著者プロフィール
大利実(おおとし・みのる)1977年生まれ、神奈川県出身。大学卒業後、スポーツライターの事務所を経て、フリーライターに。中学・高校野球を中心にしたアマチュア野球の取材が主。著書に『高校野球継投論』(竹書房)、企画・構成に『コントロールの極意』(吉見一起著/竹書房)、『導く力-自走する集団作り-』(高松商・長尾健司著/竹書房)など。

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