FA補強もレギュラーは不透明? 助っ人加入で競争激化…“混沌”のハム正捕手争い

日本ハムに移籍したアリエル・マルティネス(左)と伏見寅威【写真:荒川祐史】
日本ハムに移籍したアリエル・マルティネス(左)と伏見寅威【写真:荒川祐史】

打撃のアリエル、ディフェンスの伏見、バランスの宇佐見

 日本ハムは22日、今季限りで中日を退団したアリエル・マルティネス捕手と契約合意に至ったと発表した。このオフはオリックスからFA権を行使した伏見寅威捕手を獲得し、さらに助っ人捕手を補強。競争は一気に激化しそうだ。ここでは今季までのデータを検証し、来季の正捕手争いを占う。

 今季、日本ハムは7選手を捕手で起用。最多は宇佐見真吾の78試合で、清水優心(26試合)、古川裕大(24試合)、オリックスに移籍した石川亮(23試合)、梅林優貴(21試合)と続いた。ここに伏見とマルティネスが加わる。マルティネスは今季捕手での出場機会はなかったが昨年は10試合、一昨年は21試合にマスクを被った。まさに“群雄割拠”の状況だ。

 まずは打撃を比較する。指標はセイバーメトリクスで分析などを行う株式会社DELTA(https://1point02.jp/)のデータを参照。打撃による得点貢献を表す指標「wRAA」を用いた。マルティネスは今季8.1の高水準。宇佐見は0.1、伏見は-2.6、清水は-5.8だった。

 次に守備を比較。守備の貢献を測るとされる「UZR」は捕手は対象にしにくいとされるため、盗塁阻止や捕逸割合から算出される捕手の守備による貢献を示す「catcher defense」で検証すると、梅林が0.5、宇佐見が0.3、伏見が-0.2、清水が-0.4となっている。ただ、伏見は昨季3.2だった。一方、マルティネスは一昨年が-1.0で昨年は-0.7とやや劣る。

 マルティネスは外野もしくは指名打者での出場が有力とみられる。だが、打撃優先の布陣で臨む場合はマスクを被る可能性もあるだろう。攻守のバランスなら宇佐見、ディフェンスに重きを置くなら伏見になりそう。一方、昨季100試合に出場した清水はさらに苦しい立場になりそうだ。

 就任2年目を迎える新庄剛志監督は“扇の要”を誰に任せるのか。2人の捕手の加入で、来季の注目ポイントの一つになった。

(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)

データ提供:DELTA http://deltagraphs.co.jp/
 2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。

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