大不振のイチローを「放っておいた」 WBC世界一コーチが語る“侍Jが優勝するための鍵”

第2回大会でコーチを務めた篠塚和典氏【写真:荒川祐史】
第2回大会でコーチを務めた篠塚和典氏【写真:荒川祐史】

大不振のイチローを「放っておいた」理由

 また、急造チームだけに、首脳陣と選手、選手間のコミュニケーションがなおさら勝敗を分けるポイントになると言う。監督、首脳陣にしてみれば「自分のチームの選手ではなく、あくまで、よそのチームから預かっている主力選手だから気を遣う。怪我をさせないことはもちろん、プライドを壊さないように起用しないといけない」と篠塚氏は言う。

 とりわけ、2009年の第2回では、チームの大黒柱のイチローが、決勝トーナメント前の時点で打率.212と打撃不振を極めていた。「こちらがあれこれ言うようなレベルの選手ではない。それにイチロー自身、第2ラウンドを前に渡米した後、休養日にも仲のいい川崎(宗則、ソフトバンク)を連れて打撃練習をしていると聞いていたので、信頼して放っておいた」と振り返る。その結果、イチローはこの大会の決勝戦で延長10回に決勝2点適時打を放ち、球史に燦然と輝く伝説となった。

 一方で、当時日本代表の原辰徳監督は、大会前の時点で当時西武の片岡易之に、代走、守備固めでの起用が多くなることをあらかじめ伝えていたと言う。本職の二塁には岩村がいて、スタメンこそ少なかったが、サードを含めた守備要員、代走で貴重な役割を果たした。

 今大会は過去に例がないほど、バリバリの現役メジャーリーガーが顔をそろえると見られている。侍ジャパンは情報戦やチームワークで、アドバンテージをつくることができるか。まずは栗山英樹監督の手腕に注目だ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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