わずか40%の力しか出せなかった甲子園 高松商・大室亮満が省みる“イチローの教え”

高松商・大室亮満【写真:喜岡桜】
高松商・大室亮満【写真:喜岡桜】

昨夏は甲子園で100%の力を発揮する難しさを痛感

 激戦のど真ん中にいた2年生が、成長に燃えている。2022年8月18日、全国高校野球選手権大会の準々決勝。高校通算68本塁打でのちに巨人からドラフト1位指名を勝ち取った浅野翔吾を擁する高松商と、甲子園での奪三振数が松坂大輔氏の記録を超え98個まで積みあがった山田陽翔が軸を担う近江との対戦に注目が集まった。甲子園のサイレンが鳴り響く夏空の下、スコアボードに刻まれた高松商の先発投手は、スラリとした2年生左腕だった。

 あの一戦から4か月あまりが経過した今も、高松商・大室亮満は声を詰まらせる。「ああいう舞台で100%の力を出せるように準備をしているつもりだったんですけど、(実際に出せた力は)半分。もっと低かったですね。……40%。そのくらいです」。5回を投げ4失点。本来の力を発揮できず、山田との投げ合いに敗れた。

 甲子園で戦う準備はしていたつもりだった。2021年12月、元メジャーリーガーのイチロー氏(マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)が瀬戸内海を渡り、高松商へ直接指導をしにやってきた。当時1年生だった大室も30球ほどキャッチボールをしてもらった。質疑応答の中でイチロー氏が語った「大舞台で力を出すにはどうしたらいいか」という話が心に留まったという。

「とにかく自分の覚悟を決めて打席に立っているっていう話を聞きました。イチローさんのように大舞台で結果を出すにはそれ相応の覚悟だったりプレッシャーに耐えうるメンタル、精神力が必要なんだなって感じました」。しかし、イチロー氏の教えだけでは実力を発揮するのは難しかった。「夏にああいう悔しい思いをして、自分が納得いくまで『これだけやってきた』っていう自信の裏付けをつくることも大事だと思いました」。

香川県内で唯一、甲子園のマウンドを経験している2年生

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY