佐々木朗希に“弱点”はあるのか? 昨年のデータから検証…残された大きな課題とは
本拠地での防御率は0.76も、楽天生命パークでは6.75と打ち込まれた
球場別の投球成績を見ると、本拠地ZOZOマリンスタジアムでは12登板で防御率0.76、奪三振率13.12と圧倒的な数字。PayPayドームでは防御率1.50、京セラドームでは防御率2.25と、優勝争いを繰り広げた強豪2チームの本拠地でも好投を見せた。一方で、楽天生命パークは防御率6.75と苦手に。ただ、ZOZOマリンでの楽天戦では11イニングを投げて無失点と完璧に封じ込めている。東京ドームでは5回5失点(自責点4)と打ち込まれたが、3月に行われたオープン戦でも4回2/3を5失点と苦しんだ。
次に結果球の割合を確認する。160キロをコンスタントに超える剛速球は、代名詞の一つとなっている。しかし、結果球の割合ではストレートが52.3%と、投球の過半数を超える程度にとどまっている。もう一つの武器である140キロ台のスピードで鋭く落ちるフォークが42.4%に達しており、決め球として多投していたことがうかがえる。
140キロ台中盤に達する速度から縦に落ちるスライダー、ブレーキの利いたカーブも備えるが、この2球種が結果球として使われた割合はかなり少ない。基本的には、速球とフォークを中心とした投球の組み立てを行っていた。
8月までは新人の松川虎生捕手とタッグを組んで快投を続け「プロ野球における完全試合を達成したピッチャーとキャッチャーの最年少(合計年齢)」としてギネス記録にも認定。若き黄金コンビの誕生を予感させたが、8月以降は速球のスピードがやや低下し、打ち込まれる試合も増え始めた。8月26日の楽天戦では2022年シーズンで初めて佐藤都志也捕手とバッテリーを組み、7回無失点と好投した。そこから3試合は佐藤都が先発マスクを被り、3試合全てで5回以上を投げて1失点と復調。2022年の最終登板となった9月26日のソフトバンク戦では再び松川とコンビを組み、6回1失点と好投した。
8月26日以降の登板での結果球の割合は、ストレートとフォークの割合がほぼ同率だった。2022年のストレートの被打率は.227だったが、フォークは.112。2022年は球数を制限しながらの登板が続いたこともあり、規定投球回到達は果たせなかった。マメを潰したことによる投球への影響や、球場による得意・不得意といった課題も見受けられたが、さらなる進化も見込めるだけの数字を残している。「令和の怪物」は新シーズンにどんな投球を見せてくれるだろうか。
(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)