「リリーフの方がよほど難しい」 WBCでは超・分業制? 吉井投手コーチが貫く信念
リリーフ投手が自身で出番を見通せる環境づくりが“得意技”
2009年、前年までクローザーを務め、巨人へ移籍したマイケル中村投手の“代役”を探そうとした時のことだ。筆頭候補は、前年までセットアッパーとして試合の8回が主な持ち場だった武田久投手だった。ただ吉井コーチの意見は違った。オープン戦に入っても「ホンマは(武田)久は動かしたくないんやけどな……」と口にしていた。
なぜかといえば、クローザーは出番がはっきりしているからだという。勝っていれば、さらにはセーブを挙げられる場面なら行く。負けていれば出番はない。ところが7、8回を投げるようないわゆるセットアッパーは極めて出番を読みづらいのだという。負けていても、追い上げる流れの中での登板がありえる。試合展開によってすべきことが全く変わる。そこで確実に結果を出せる才能は、誰にでもあるわけではないというのだ。
話はWBCに戻る。すでにエンゼルスの大谷翔平、パドレスのダルビッシュ有、オリックスの山本由伸、さらにはロッテの佐々木朗希といった、日本を代表する先発投手がすでに侍ジャパンの一員として発表されている。そして間もなく出そろうリリーフ陣こそが、日本の命運を握るはずだ。
大会特有のルールが、リリーフの重要性を増すのだ。吉井氏は「タイブレークのルールが採用されたとき、いきなりランナーがいる場面でのスタートになる。そこできちんと投げられる専門職の投手は絶対に必要」と話している。韓国での報道によれば、タイブレークは延長に入ってすぐ、10回から行われる可能性もあるという。