先輩投手を見下し「こりゃ勝ったな」 余裕で度肝抜いた豪速球…有頂天が招いた“悲劇”

「俺が権藤だ。お前、知っているか」 偉そうなコーチのひと言
そんな形でキャンプを終え、名古屋に戻ると権藤2軍投手コーチが待っていた。「『俺が権藤だ。お前、俺、知っているか』って言われた。もちろん知っていたけど、あまりに偉そうに言われたから『知りません!』って答えちゃったけどね」。そして、ここでも走ってばかりだった。「ダッシュが多くて30メートル50本、50メートル30本とかタイムをとってね。基準をクリアできなかったら、いつまでも終わらなかった。俺は足が速かったから良かったけどね」。
その後、肩は治ったが、今度は内臓も壊したという。「水が合わなかったのかどうかわからないけどね、薬を飲んで練習はしていたけど、まともに野球ができるようになったのは7月か8月くらいだった。そこからファームで3勝くらいしたかな」。ところが、9月の終わり頃に、また肩を痛めて投げられなくなった。そんな時に1軍からお呼びがかかった。
よりによって故障している時にチャンスが巡ってくる不運。ついていない。流れが悪い時はこんなものだろう。それが……。ここから現在なら考えられないことが当たり前のように起きた。
(山口真司 / Shinji Yamaguchi)
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