キッカケは新型コロナによる大打撃 なぜ鷹は自社メディア事業に力を入れるのか
「適正な対価をいただけるファンサービスであれば、適正な形で継続できるようになる」
なぜこの時まで無料で配信していたものから、有料サービスを作り出すことになったのか。その背景には、2020年から世界的に猛威を振るった新型コロナウイルス感染症がある。2020年シーズンは2か月遅れで開幕を迎え、試合数は120試合に減少。開幕当初は無観客、有観客となった後も人数が制限された。入場料が大きな収入源であるプロ野球球団は当然、経営的に大打撃を受けた。
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球団単体でそれまで300億円以上の売り上げを出していたソフトバンクも例外ではなく、入場者数は5分の1ほどに。井上本部長は「図らずもコロナでものすごい赤字を出してしまった。そうなった時にどこからコストを削るかとなると、まずは収益を生んでいないサービスを縮小し、収益性のサービスを拡充するとなりやすい。適正な対価をいただけるファンサービスであれば、適正な形で継続できるようになる」という。
「無料で見せ続けるというのもプロモーションとしては良いでしょうけど、そうなると発信する側にも『収益を生まないし』とか『無料なんだし』となりかねない。お金をいただいていることで生まれる緊張感みたいなものが、作る側にも生まれるんじゃないか、というのもあります」。ファンを楽しませる取り組みを安定して継続し、かつ、よりコンテンツを充実させ、質を上げるために“有料化”に踏み切った。
とはいえ、全ての情報発信を「ホークスTV」に集約させるわけではない。球団公式YouTubeも、ツイッターやインスタグラム、TikTokといったSNSでも情報発信を継続している。「全てのサービスを、お金を払わないと見られないというのも間違っていると思っています」と井上本部長。「球団として皆さんに広く知ってほしいもの、皆さんに届けたい情報はSNSで、選手が面白いことをやっていますよとか、選手のパーソナルなところ、球団の深いところをホークスTVで伝えるのがいいのかなと思っています」とすみ分けている。
今でもこのコンテンツのすみ分けには頭を悩ませているというものの、球団公式SNSを“広く知ってもらうツール”、「ホークスTV」は“深く知ってもらうツール”として活用する。チームでは4軍制も発足する2023年。3年目を迎える「ホークスTV」もまた、新たな進化を予定している。
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(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)