伝説の“宇野ヘディング”で星野仙一はなぜ激怒? 「賭け」に勝った後輩が明かす秘話

“ヘディング事件”から約1か月…小松辰雄氏が巨人の連続試合得点を止めた

「あの時の後楽園は風が無茶苦茶、強かったんだよね。宇野さんにはあのプレーのイメージがあるけど、守備はうまかったんだよ」と小松氏は言う。そういう意味ではツイていたということだろう。それから約1か月後の9月21日の巨人戦(ナゴヤ球場)で小松氏はプロ初完封勝利をマーク。巨人の連続試合得点を174試合で止めた。次の日に星野氏は「おめでとう」と10万円を持ってきてくれたそうだ。

 その年は12勝6敗11セーブ。先発としても実績を残した小松氏は翌1982年、プロ5年目にして開幕投手を任された。「キャンプの途中に言われたと思う。でも、状態は悪かった。とにかく体調が良くなかった」。

 原因は花粉。キャンプ地の宮崎・串間は周りが杉だらけだった。「まだ花粉症なんて言われていない頃だったんで、何だろう、何でこんなに体調が悪いんだろうって思っていたんだけどね」。オープン戦もまともに抑えたのは1試合ぐらいだったという。

「それでも開幕に行けって言われたから……」。そんな中で始まった1982年シーズン。この年も激動だった。マウンドに上がって足が震えた時もあったし、信じられないこともあった。

(山口真司 / Shinji Yamaguchi)

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