“ダルビッシュ効果”生んだ10年前との変化 若手になくなった「上達しない考え方」

侍ジャパン・ダルビッシュ有、宮城大弥、佐々木朗希(左から)【写真:荒川祐史】
侍ジャパン・ダルビッシュ有、宮城大弥、佐々木朗希(左から)【写真:荒川祐史】

球種もトレーニング法も試し続けた若き日のダルビッシュ…後輩も続く

 確かに今キャンプ、若手投手陣はダルビッシュから教わったことをすぐに試していた。佐々木も湯浅もすぐに実戦で投げ、佐々木は「まだ投げたいスライダーの理想とは違うんですけど、その中でも空振りを取れて、変化自体は良かったのかなと思います」と収穫と課題を実感していた。他の選手にも「まずはやってみる」姿があった。

 ダルビッシュは、日本で5年連続で防御率1点台という圧倒的な成績を残し、海を渡ったが、それでも貪欲な姿勢を忘れなかった。最新のサプリメントや筋力トレーニングを常に勉強し、SNSでも知識を吸収。昔は当たり前のように行われていた長時間のランニングを止めたり、2015年にトミー・ジョン手術を受けた際には増量にも取り組んだりした。

 変化球についても同じだ。新たな球種を増やし続け、今キャンプでトラックマンの数値を見た厚澤和幸投手コーチは、同じ球種で複数の軌道を投げ分ける姿を「2人の別な人間が投げているよう」と表現した。「スプリーム」というオリジナルの球種を作り出したこともあった。

 36歳になり“レジェンド”と称される今でもこの姿勢は変わらない。22日には、11歳年下の高橋奎二投手(ヤクルト)にチェンジアップの握りを聞き、実際に投げ込んでいた。今の侍ジャパンの投手陣は、そんなダルビッシュに憧れ、育った世代。目の前にいる生きた教科書に“後輩たち”も貪欲にならないわけがない。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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