高橋宏斗の“新フォーム”は「お互い相当な覚悟」 情報量の多さが呼んだ決断の難しさ
五十嵐亮太氏、高橋宏の3年目でのフォーム改革に「リスク負っても成長を選んだ」
中日から唯一の侍ジャパン選出となった高橋宏斗投手。弱冠20歳の右腕はこの春、キャンプ序盤にメディアを賑わせた。昨季から一変した投球フォームを披露して周囲を驚かせたが、立浪和義監督らのアドバイスを受けて昨季に近い形に落ち着いた。一連の出来事について「お互いに相当の覚悟が必要だったと思う」と話すのが、日米球界で活躍した野球評論家の五十嵐亮太氏だ。
高橋宏は開幕ローテ入りした昨季に1軍デビュー。19試合先発で6勝7敗、防御率2.47の好成績を挙げた。11月の強化試合に向けて侍ジャパン入りし、WBC出場メンバーにも名を連ねた。一気に才能が開花したシーズンを終えて迎えたオフの心境を、五十嵐氏はこう思いやる。
「結果が出たシーズンを振り返り、もっと体に負担少なくローテを回るためにはどうしたらいいのか、考えたと思います。色々考えてたどり着いたのがオリックス山本由伸投手との合同自主トレであり、フォーム変更だったのでしょう。誰の目にも明らかなくらい大きな変化を遂げれば、元々できていたことができなくなる可能性がある。そのリスクを負ってでも成長の道を選び、ある程度いけるという感覚をつかんでキャンプを迎えたのだと思います」
高橋宏と言えば、テークバックが小さく186センチの長身から角度をつけて投げ下ろすフォームが印象的。だが、新たなフォームは山本とうり二つで、首脳陣の目には持ち味が消えてしまったように映ったという。そこで放置せず、あえて“助言”を送った首脳陣についても「相当の覚悟が必要だったはず」と話す。
「ひと昔前は監督やコーチが『こうしろ、ああしろ』と指示・指導していましたが、時代は変わって、今は選手の選択や意志決定をサポートする形がメインで、強くは意見できません。その中で中日首脳陣はかなり早い段階で、フォーム変更を思いとどまらせました。今の時代にかなり思い切ったことですし、万が一、今季結果が出なかった場合を考えると相当の覚悟が必要だったと思います」