不振のイチローをモノマネ、安打にお祭り騒ぎ “極限状態”から蘇った侍の「結束力」

2009年WBCに出場したイチロー【写真:Getty Images】
2009年WBCに出場したイチロー【写真:Getty Images】

2009年WBCでチーフスコアラーを務めた三井康浩氏が戦いを回顧

 第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で侍ジャパンは3大会ぶりの優勝を目指す。エンゼルスの大谷翔平投手らの活躍が期待され、日本中が注目しているといっても過言ではない。開幕を控えて、日本が頂点に立った2009年大会を改めてクローズアップ。イチロー氏をはじめ、当時の侍はどうやって頂点にたどりついたのか。チーフスコアラーだった三井康浩氏が舞台裏を明かした。

 韓国との決勝(2009年3月23日、ドジャースタジアム)は延長10回表にイチロー外野手が勝ち越しの2点タイムリー。その裏をダルビッシュ有投手が締めて、原辰徳監督率いる侍ジャパンは優勝を成し遂げた。宿敵を下し、歓喜に包まれたが、三井氏は大会を通してのポイントとなる試合は第2ラウンドのキューバとの敗者復活戦(3月18日、ペトコパーク)を挙げた。負ければ終わり。日の丸を背負うプレッシャー。まさに極限状態での戦いだった。

 前日(3月17日、ペトコパーク)の韓国戦に1-4で敗れて侍は追い詰められた。そんな中、原監督が選手たちを奮い立たせたという。試合前のミーティングで「マイナス思考にならないでいこう。我々は勝てるんだから」と鼓舞。三井氏は「あの“勝てる”という言葉が選手たちには響いたと思います。あれでチームがまた、まとまったというか、ぎゅっと締まったんじゃないかと思います」と振り返った。

 加えて三井氏はこうも話した。「僕は原監督のその言葉を聞いて、長嶋さんの10・8の中日戦の時の言葉とダブりましたね」。1994年10月8日、ナゴヤ球場でのレギュラーシーズン最終戦で巨人が中日を下して優勝を決めたが、その大一番前のミーティングで長嶋監督が「勝つ」を連呼したという伝説のエピソード。それと重なったというのだ。

「原さんはそういうあれではなかったと思いますけど、同じような気持ちだから、ああいう言葉が出てきたんでしょうね。選手の発奮材料になるような語彙力というか、そういうものを長嶋さんも原さんも持っておられるので、あの状況の中で、この言葉しかないというのを選ばれたんでしょう。僕の中ではそれが合致。ちょっと感動していました」。侍ナインはそこまでは感じなかっただろうが、あの10・8の巨人戦士たちと同様に気合が入ったのは間違いないだろう。

亀井らが不調のイチローと同じ“オールドスタイル”に変えた

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