幽霊騒ぎでお祓い、門限破りで“せめぎ合い” 寮長が明かすプロ野球選手の寮生活
広島の元捕手で寮長の道原裕幸氏が回顧…門限チェックの“攻防”
広島の大野寮(廿日市市)で寮長を務める道原裕幸氏は捕手として優勝に貢献するなど活躍し、1984年に現役を引退した。1986年からは1軍バッテリーコーチ補佐兼三篠寮(広島市西区)の寮長となり、選手を“管理”。規律には厳しく、門限チェックなども仕事のひとつだったが、そんな時代にもいろんな出来事があったという。時には選手との“せめぎ合い”や、選手からの思わぬ訴えもあったそうだ。
元広島監督の野村謙二郎氏や現広島2軍監督の高信二氏らが現役時代の頃の話だ。「僕は寮の近くに住んでいたんですが、ある日(ナイターで)試合が終わった後、夜に寮に行ったんですよ。あの時、門限が(ナイター後のため)夜の12時だったんでね」と道原氏は話す。いわゆる抜き打ちの門限チェックだ。「そしたらね、選手の『来た、来た、来た』って声が聞こえてきたんですよ。それで『何が来たんや』って言ったことがありましたね」。
今と違って当時は門限を破る“猛者”が多かったと言われる。脱出経路もいろいろあったなんて話もちらほら。そんな中での「来た、来た、来た」はその“攻防”を表す言葉だったのだろう。道原氏は「『何が来たんや』って言ったら、選手は『すみません』っていうから『(寮から)出るなよ』と言って僕は帰りましたけどね」と苦笑するが、これも駆け引きのひとつ。その直後、道原氏も選手側もそれぞれが相手の動向をうかがっていたとか。