負け越しているけど衰えぬ“数値” 日米200勝へあと10勝…田中将大は今季達成できるか

奪三振率は低下も、抜群の制球力は維持

 1年目の2007年から196奪三振、奪三振率9.47を記録し、2011年にはシーズン241奪三振、奪三振率9.58という数字を残した。当初は奪三振の多さが持ち味の一つだったが、24勝0敗だった2013年の奪三振率は7.77だった。MLB挑戦を経て日本球界に復帰した2021年以降の奪三振率は7.28、6.96。投球スタイルを転換させたことが見て取れる。

 一方で、2007年の与四球率は3.28だったが、2008年と2009年は2点台、2010年以降は全て1点台以下と、与四球率は年を経るごとに向上。2011年は1.07、2012年は0.99と、統一球の影響が色濃く出ていた時期の数字は圧巻だった。制球力を示す指標の「K/BB」もプロ入りから2年間は2点台後半だったが、3年目以降は全ての年で、優秀とされる水準の3.50を上回っている。中でも、2011年と2012年はともに8点台後半という圧倒的な数字を残した。

 次にMLB時代の指標を見てみる。2013年の楽天での奪三振率は低下していたが、MLB挑戦を境に再び上昇に転じた。MLBで過ごした7年間のうち、投球回を上回る奪三振数を記録したシーズンは3度(2014、2017、2018年)。通算奪三振率は8.46で、NPBにおける平均値(8.21)を上回っている。

 加えて、7シーズン全てで与四球率は2.10未満、そのうち5年間は1点台と、持ち前の制球力も発揮されていた。K/BBも7シーズン全てで3.50を上回り、そのうち6シーズンが4.50以上。WHIPも7年間の平均が1.13と、一般的に優秀とされる1.20を下回っている。

 2022年に記録した結果球の割合をみると、球速は低下したものの、ストレートの最速は150キロを上回る。加えて、140キロ台で鋭く落ちるスプリット、130キロ台前半で縦に大きく曲がるスライダーの2球種はMLBでも効果を発揮した。140キロ台中盤の小さく変化するツーシーム、140キロ台前半の手元で動くカットボール、130キロ台中盤のチェンジアップ、110~120キロ台のカーブと、多彩な球種を投げ分けられる引き出しの多さも、非凡な点といえる。

 K/BB、与四球率、WHIPといった各種の数字が示す通り、田中将は現在も一線級の実力を維持している。技巧派としても十二分に成功できるだけの制球力と引き出しの多さを備えるだけに、短期間で急激に成績を落とすことは考えにくい。酸いも甘いも噛み分けた右腕が新シーズンに見せる投球は、これまで以上に要注目となることだろう。

(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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