門限破りの“常習”だった鈴木誠也 懇願した寮長「見えるところでやってほしい」
寮の門限を過ぎても隣接する室内練習場でバットを振った鈴木誠也
カブス2年目を迎える鈴木誠也外野手は、広島若手時代に打力アップのために努力を積み重ねたひとりだ。広島の2軍大野寮(廿日市市)の寮長・道原裕幸氏は「入った時は足は速い、肩は強い、守備はまあまあでしたけど、それしかなかった。それがバッティングも急にもうガーッと力をつけていきましたからね」と証言した。
鈴木は2012年ドラフト2位で二松学舎大付高から広島に入団。高校通算43本塁打をマークしたが、それでも打力はまだまだプロでは見劣りしていたという。本人もそれは分かっていたのだろう。道原氏は「寮の中ではいつもバットを持っていた印象があります。それこそ僕が見かけた時は必ずバットを持っていた感じでしたよ」と言い、とにかく打撃練習に力を注いでいたそうだ。
大野寮の門限は午後10時30分だが、鈴木は戻ってこないことがしばしばあった。外出して間に合わなかったのではない。寮に隣接する室内練習場で時間を忘れるほどバットを振り続けていたからだ。「門限を過ぎているから、見えるところでやってほしいとは言いましたね。すると誠也は室内練習場の電気も自分が練習するところだけつけてやっていましたよ。(寮の玄関前の)駐車場で振っていたという話も聞いたことがありましたね」と道原氏は微笑んだ。
鈴木は2016年に大ブレーク。オリックスとの交流戦で2試合連続サヨナラ本塁打を放った際に、当時の緒方孝市監督が発した「神ってる」は流行語大賞にもなった。そこから一気に超一流打者の道を走り出したが、土台には2軍時代の地道な継続練習があったわけだ。