時代に「合わせていくしかない」 使えなくなった“広島弁”…寮長が悩んだ言葉遣い

中村奨成は「今のままではもったいない」

 伸び悩む2017年ドラフト1位の中村奨成捕手も気になっている。「入ってきた時、バッティングも肩も、こいつはすごいなって思いましたからね。僕もドラフト1位でしたけど、負けたって思いましたよ。力はあります。だから今のままではもったいない。何とかやってほしいんですけどね、広島の人間ですしね」と熱いエールを送った。

 大野寮の出世部屋は104号室。前田健太投手(現ツインズ)をはじめ、近年のドラフト1位選手はそこからプロのスタートを切っている。中村奨もそう。今季は2軍スタートとなったが、このままでは終われないはずだ。

 長きにわたって寮長を務める道原氏だけに、時代の流れも感じることも多い。「今は広島弁で注意すると、こっちはなんともなく言ったつもりでも、やっぱり関東から来た子とか、東北から来た子はウワってなるじゃないですか。だから、今は使えないですよ。こういうことはやっちゃ駄目よ、やらない方がいいよって注意するときは標準語で。それも時代ですからしょうがないですよね。こっちが合わせていくしかないですから……」。

 山口・桜ケ丘高時代、2年後輩に長州力がいた。芝浦工大時代は1年先輩が元西鉄、巨人などで活躍した伊原春樹氏だった。広島では後輩の高橋慶彦氏の赤いポルシェに乗せてもらったこともあった……。それこそグラウンド外の昔話まではじめるときりがないほど、道原氏はいろんなことを経験しているし、知っている。数え切れないほどの人との出会いという財産もあり、その中から、いいことをセレクトして、現在進行形で寮生に伝えているし、それが選手の未来につながることを願ってやまない。

(山口真司 / Shinji Yamaguchi)

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