内野の要を捕手に大胆コンバート 「夏の神奈川」を勝ち抜くため…桐光学園のチャレンジ

次は横浜と試合をおこなう桐光学園ナイン【写真:大利実】
次は横浜と試合をおこなう桐光学園ナイン【写真:大利実】

「アウトを恐れずに積極的にバットを振っていく」

 冬は毎日、ロングティー、連ティーに取り組み、打力強化に時間を割いた。体にも強さを感じ、冬のトレーニングをしっかりと行えたことが感じ取れた。

「そう言ってもらえると、うれしいですね。今年はバットを振れる選手が多いので、そこを伸ばしていきたい。試合でも、アウトを恐れずに積極的にバットを振っていく。好投手と当たった時に、もしかしたら100球未満で完封されてしまう淡白な内容になることもあるかもしれません。でも、そういうリスクを取らなければ、勝つことはできませんから」(野呂監督)

 桐光学園が、神奈川の優勝争いに絡み始めた2000年頃は、強打が武器だった。2001年夏の決勝(対横浜)では、初回に3ラン2本が飛び出し、高校野球ファンを驚かせた。「あそこまで打てるかとなると、まだわからないですけど、戦う側がそのイメージを持っておくのも大事なこと。失点しても、打つことで取り返していきたい」

 次戦の相手は横浜。ここで敗れれば、夏のシード権を逃すことになる。「うちとしては、楽しみなトーナメントです。力のあるチームと戦い、緊張感のある試合で勝つことが今のうちには必要なことなので」。

 主力のコンバートと、打線のさらなる強化に踏み切ったこの冬。リスクを背負いながらも攻めのチャレンジで、春の頂点、そして夏の甲子園をつかみにいく。

(大利実 / Minoru Ohtoshi)

○著者プロフィール
大利実(おおとし・みのる)1977年生まれ、神奈川県出身。大学卒業後、スポーツライターの事務所を経て、フリーライターに。中学・高校野球を中心にしたアマチュア野球の取材が主。著書に『高校野球継投論』(竹書房)、企画・構成に『コントロールの極意』(吉見一起著/竹書房)、『導く力-自走する集団作り-』(高松商・長尾健司著/竹書房)など。

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